六夜 怪談・十二物語 開始
「さてと‥‥皆さんの自己紹介も終わりましたし、いよいよ本題に入っていきましょう!」
源先生がそう言った途端に周りからの歓声が上がる。勿論、俺もめちゃくちゃウキウキしていた。
「わぁ‥‥。いよいよだなぁ〜!!」
「椛くん怪談話好きなんっスか?すっごい嬉しそうな顔をしてるけど」
「うんうんうん、大好きだよ!こうして大勢でやるのは初めてで特に!」
いつも、広や蒼斗、後は館の住人の方達と遊び感覚でやっていたから本格的な怪談話をするのは生まれて初めてだ。
胸がドキドキしているが、ワクワクも溢れ出ている。
「椛のホラー好きはちょーっと周りが引くレベルだからね。皆気絶しないと良いけれど」
「え、俺ってそんなに被害与えているの?」
「まさかの自覚なし?!」
「さ、流石に怖いんだけど‥‥」そう言って顔面蒼白になる鈴。
「お前、鈴に何したの‥?」
幸気ちゃんも引き顔になっていた。
「いや別に何もしてないけど‥‥。一緒に廃墟巡ったり、夜の公園で"ベントラー"って言い続けてUFOくるか試したり‥‥」
「あとは〜‥」と付け加えようとすれば、もういいと拒否られた。
「椛くんオカルト好きなんですね〜♪色々怪談知ってそうで頼もしくなります〜。今度、木霊にまつわる怖い話聞かせましょう〜♪」
森咲さんがノリノリの声で俺に言う。
木霊についてか‥‥。森にまつわる怖い話は色々読んだことあるけど、森の妖精さん本人なら俺の知らない話絶対知ってる!
「え!?良いの?!ありがとう、森咲さん。これから自分の大好きな怪談をいっぱい語ったり、聞いたことのない情報を知れたりする‥‥。はぁ〜‥、ここに入学出来て本当に嬉しいです!」
「そう言ってくれて、先生として僕も嬉しいです!よかった〜」
俺の言葉に先生は、ほっと安心そうな顔をしていた。
「じゃあ、今から怪談会のルールを説明していきますよ〜!」
「源先生すみません、さっきここにくる途中1人1話怪談を話すと言ってましたが、百物語では蝋燭が100本必要ですけど‥‥どういう事ですか?」
隣にいた美留町さんの言葉に、「あ、確かに〜」と同じ反応をする方達もいた。
その質問に、源先生は嬉しそうな顔をして、
「美留町さん、よくぞ気付きましたね!凄いです!」
「いや‥‥圧倒的に数が足りないからどうするのかと思っただけで‥‥」
「先程言った通り、この学校の新入生は入学式を行う代わりに、1人1話ずつ怪談を話す伝統行事、入学怪談会。通称 入怪を行います!」
「(いや、名前そのまんまっスね‥‥。もうちょっと凝ってても良いんじゃないんっスか)」
「(通称のやつダッセー‥)」
成る程、入学怪談会か。入学早々怪談話をするんだから、やっぱり怪談に力を入れているんだな。
流石、怪談専門校とも呼ばれているだけ怪談師を目指す者達が進学する所だ。尊敬する。
「では、今からルールを説明しますね!」
そう言って源先生は再び口を開き、皆の視線は一斉に彼の方へ集まった。
あと2話で本格的に怪談が語られます!
もう少しお待ち下さい!