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#7.才能の発覚

【サラファン_冒険者ギルドサラファン支部_ギルド長室】


「ようこそ、シャンクトワール家の子供たち。ここはギルドマスターである私の仕事場……気兼ねなく話せるだろう」


「離すことなんてアタシたち無いけどね~」


「……」


「まずうぬらがなぜここに居たのか、それを私は知りたい」


「そんなこと知ってどうすんの?」


「なにもせぬ、気になるだけだ」


「じゃあ喋んないよ~べーだ」


ヤギさんは子供のようにハンスさんを嘲った。


「ワシを見ても動じぬものはやはり王族の器として充分なものであるようだな」


「んで~いつ解放してくれんの?」


「まぁ待て」


「あの」


「どうした?」


「イアストラについて…知っていることがあれば教えてくれませんか?」


「あぁ……たしかにワシの耳には普通より早く情報が入ってくる。うぬらはそれを聞く権利がある。話そう」


ハンスさんは腕を組み、やや上を向きながら喋りだした。


「冒険者達をイアストラに派遣してわかったことだ」


「……」


「うぬらもご存知の通りイアストラは全27区、その中で文化の森と呼ばれていたハンケイン区を残しその全てが消滅した」


王立図書館が位置する区だ…。


「凄まじい力により国全体が影響を受けたものと見られる。だが、その背景にはどこの国の侵略も考えられず事件に関わったと見られる人間は誰一人見つかっていない」


「待ってください、ハンケインはいまどうなっているのですか?!」


「どったの?サゴリン」


「強い結界が張ってあり中には入れない状態だ」


行かなきゃ、アメリさんが生きているかもしれない!


「ちょっちょっ、なにしてんの?サゴリン」


範囲選択(デニスエード)自分自身(エーゴ)…」


「おい!サゴリン?!」


記憶の場所へ(ヤツェク)…」


「その魔法は…?!」


「じいちゃん!止めてよ!ちょサゴリン!」


王立図書館に飛べ!!




「…いっちゃった。なんだ、どうしちゃったのサゴリン」


「あの年齢で…はは」


ハンスはソファに倒れ込んだ。


「王族……王族…だからなのか」


「じいちゃん、どうしたの?」


「あの手の魔法は……いつまでも伝説の中で語り継がれていたんだ」


「どういうこと?」


「魔法には己の力で唱えるものと、神々のみ唱えることが出来る魔法が存在するのだ……」


「だからどういうこと?」


「いま、スレイ・シャンクトワールが唱えた魔法は語りかける魔法(ロクアミニ)……その名の通り世界に語りかけることができる神々のみ唱えることが出来る魔法だ」


「はぇ~」


「それを、こうも易々と……私が追い求めていた伝説のひとつが9歳の少年だというのか…」


【元イアストラ王国_ハンケイン区前】


ダメだ、ハンケイン区全体を丸い結界が覆っていて、入れない。

どうしてもここで引っかかってしまう……。


その決壊に触れれば悪しき魔力を纏った電撃が体に直撃する。

これほどまでの力……いったい誰が


「やぁ!!もしかして君生き残りか?!」


だれだ?


「この辺に子供がいるわけないよなぁ、俺は冒険者ギルドのもんだ。名前はジェズアルド・カラヴァーニ。クロリアーが誇るイケメン戦士さ」


クロリア……遠い国だ。


「君がかわい子ちゃんじゃなくて心底残念だが~、俺は君を完璧にエスコートすることが出来るぜ?すぐ近くの~そうだな、サラファンに」


「いえ、あの」


「おっと~男でもふらつく俺の美貌が失礼をしたな。要は安心していいってこった。君、名前は?」


「あ、サゴリンです」


「サゴ・リン?この辺の名前かそれ?まあいい、サゴ俺についてきな」


だめだ、やることあるよ。


「実は今…人を探してて」


「人か?なんだ、ママか?パパか?どっちでもいいなそんなこと。もしかしてその歳でワイフか?おお~俺ったら野暮ったらしいなぁ」


お喋りだな……。


「んじゃあ、これを渡しとく」


紙……?


「俺も今、永遠に終わらない人命救助の真っ最中だ。それでも人を探すってなら俺はその心意気に感服して君を止めない。だが、何かあったらこの微小な魔力を込めた紙に願いな。俺はヒーローのようにいつでも華麗に颯爽と駆けつけてやるぜ」


範囲選択(デニスエード)共有魔法(カンヴァロ)の詠唱文が記されている。

そういう仕組みなのか…。


「んじゃあな、サゴ。君の旅路に幸あれ!!Foo〜」


そういうとジェズアルドさんは陽気にその場から離れていった。悪い人では無さそうだ。


さて、本題はこの結界だ。解かなければ中には入れないし、そもそも中に入ってもアメリさんがいるとは限らない。

だが、少しの可能性も潰すべきではないと考える。

悪しき魔力を扱える人物というものは過去300年の文献でも誰一人いなかった。それより過去となると、もはや正確な歴史が残っていない。

ただ、悪しき魔力に関する資料は残っていた。ならば、誰かが使っていたということになる。

悪しき魔力とはなんなのか、悪しきとか書いてるけど実情はただ魔法を少しねじ曲げただけの魔法。

唱え方にひとつエッセンスを加えるだけで簡単に悪しき魔法となる。

しかし、そのエッセンスはまだ見つかっておらず見つかったとしても過去には残していけないもの。

この魔法は感情と理性に反応して人間だけしか襲わない迷惑極まりない魔法だからである。

しかも同じ悪しき魔力でしか打ち消すことが出来ないという厄介ぶり……


「どうしたら…」


ハンケイン区には唱え方が残っていたというのか…?

とすれば、文化の森の中心である王立図書館には何かが…

だからこんな厳重に……


「ムリだよ、悪しき魔力を破るなんて」


「君は…」


今日はよく人と会う。

この人も冒険者ギルドの人なのか?

ボーイッシュな装いをした女性だ。


「君、相当な手馴れでしょ?だけどね、これはムリ」


「いや、わかんないです」


「ボクは悪しき魔力を研究して三年経った。まだまだ甘ちゃんだろうけど、何一つ解明できてないんだ」


ボクっ娘……


「しかもこれほどまでの大きな結界だとね…、ボクらにどうにかできる問題じゃないよ。神の仕業だね間違いない」


「でもっ!僕は!」


「なにか理由があるんだろ?なら是非とも一緒に考えようじゃないか。実は今助手を欲していてね。僕の名前はフィア・ソフィア……気が向いたらここに来てよ」


また紙……


「なんだ先客でもいたのか?でもいいよ、ボクらの研究は崇高なものだからね。ボクは君がここに連絡してくれると確信しているよ。じゃ」


嵐のように去っていった。

…僕も冷静になったみたいだ。一度、ヤギさんの元へ帰ろう。

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