77 信長様、熊から責められる
「御屋形様、そりゃ駄目ですって」
熊にまで言われた
だが信長は言いたい
家臣がやったことだ
今、駿河の今川義元が三河を手にして尾張の国に攻めてこようとしていた
敵は2万とも3万ともいわれる
それに対してこちらは5000
勝てる見込みがなかった
おかげで織田家家中は大騒ぎである
戦うべきだと言うもの
京への道を開きたいのだろうから和睦をすべきだと言うもの
どっちつかずで困っているもの
二分どころかバラバラであった
となればどうすべきか
熊に丸投げだ
今までだってどうにかしてくれた
今回もどうにかなるだろう
そんな気持ちで信長は熊の家を訪れた
実際に信長の居城の那古屋城と熊の村は歩いて半刻(1時間)程度
馬を飛ばせば四半刻(30分かからない)
即断即決の信長が訪れないはずはなかった
なんでも知っているようで知らないことが多い熊に向かって現状を(蘭丸が)説明した
松平の竹千代が人質として今川義元の所に送られるのを横取りした所で熊から苦情がきた
今川に恭順するからと竹千代君を人質に送りだしたのになぜ?!、と
そりゃ三河の松平から恨まれますって
三河武士と言ったら根に持つことで有名
恨みを絶対に忘れなくて後々ネチネチいう人間の代名詞
質実剛健と言えば聞こえはいいけど、過去の恨みをいつまでも忘れない粘着質と言ってよい
そんなの長年隣人をやっていればわかるでしょ?
そんな相手になにやっているの?
と呆れられた
だが信長は言いたい
信秀の代でのことで家臣が勝手にやったことだ、と




