3 お蘭登場
「これは美味じゃの!」
信長様が柿を食べて上機嫌になっていた
不機嫌だった信長様が今では上機嫌
自分ではとても信長様の御機嫌をとることはできなかっただろう
いや織田家家臣のだれもできないだろうことは判っている
それを多少のこと ~信長様の「大たわけ!」が2回ほど~ でやってのける熊殿
森蘭丸は、もはやどちらが家臣かわからなくなってきていた
「蘭丸殿もお召し上がりください」
そう言って熊殿が柿の入った皿を差し出してきた
熊殿は農民のくせに何気に礼儀正しい
それに気がきく
どこで身につけたのかと言いたいほどであった
・・・なんで農民をやっているのか、と言いたくなるほどである
「馳走になる」
一言礼を言って柿に被り付いた
実は柿といいながら皺皺だ
おまけに知っている柿とは違いだいぶ小さい
表面には白い粉が付いている
口に入れるのを正直躊躇った
だが主君である信長が食べているのだ
ここで口を付けないという選択肢はなかった
甘い!
一口食べて思った
柿といえば固い物だった
あるいは良く熟れてドロドロに溶けかけている物
ところが熊が出した柿は固くもなく柔らかくもなかった
そして今まで食べたことがないくらい甘かった
信長様が熊殿に惹かれるのも判る気がした
「熊、けしからんぞ、一人でこんな美味なものを食べおって、我に今まで渡さなかったとはこの大うつけめ!」
なにやら主君から聞こえてはいけないものが聞こえたような気がした
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信長様は1534年生まれ
蘭丸は1565年生まれ
21歳違いなのに現時点で18歳の信長様に仕えているのはおかしいといったツッコミを作者は非常に嫌う
・・・書かなければ誰も気が付かなかったのでは?というツッコミもいらない
柿の話を書き終わってから気が付いた(苦笑)
だってラノベだとかマンガだとかドラマだと絶対に21歳違いに見えないんだから間違えたのも仕方がない
・・・これだけ言い訳していれば呆れて感想欄に苦情が来るまい
こないよね?