楽市楽座編 別バージョン
「お屋形様(織田信長)が座をなんとかしろと仰せだ」
蘭丸殿が無茶振りを伝えにきた
・・・ただの農民のオレにどうしろというんだ、と言いたい
はじめましての人も二度目の人もこんにちは
タダの農民の権三だよ
権蔵の三男って意味だ
・・・戦国時代の名付けなんてこんなものだよ
実はオレは転生者だ
それもチートも何もなし
どうしろというんだと大声で言いたい
・・・絶対に神様の手抜きだよな
まあそんなオレなんだけど実は信長様と友達だったりする
いやね、村長の息子がオレに嫌がらせをしてきていたんだよ
何か知らんが大事そうな手紙が道に落ちていたらしい
だからオレに届けさせて困らせてやろう
そう言うこと
もちろんやり返した
倍返しだ!
オラ字が読めねえだ
でも村長の息子は手紙を読んで笑っていただ
なにが書いてあるんだべ?
届けた先でそう言ってやった
大事な手紙だったらしい
知られたら抹殺するレベル
もちろん村長の息子は問答無用でバッサリ切られた
・・・子供の頃からの10年以上イジメられたから1000倍返し?
その際に信長様にオレの賢さ(笑)がバレた
まあ6-3-3で12年も学んでいるんだ
賢さは隠せなかったぜ
織田信長といえば戦国時代にも関わらず先進的な考えの持ち主で有名だ
おかげで周りの人間と話が合わなかったそうだ
初めて話があったのが農民のオレ
馴れ馴れしく肩を抱いてベタベタしてきた
・・・不良に絡まれている真面目な生徒だと思ったね
おい金貸してくれよ
もってません
ああ?オレのお願いがきけないっていうのか
そんな台詞がピッタリだった
まあオレも同じなんだけどな
村長の息子どころか親兄弟からも引かれていたからな
そりゃそうだ
生まれた時から親よりも物を知っている子供がいたら不気味だよ
リアル『オーメン』
・・・よく殺されなかったな
濡れた半紙を顔において窒息死
葦の船に載せられて川に流される
昔から子殺しはよくやられていたからな
あれだよあれ
いくぜ番長
よしきた秀才
昭和の時代のマンガの定番だな
二人で無茶したね
昭和の時代なら夜に校舎の窓ガラスを割りまくっていただろう
二人で一つ、って関係だった
まあ信長様が織田家を継いだからもうそんなことはなくなった
・・・辞められたわけではなく、ソロでやるようになったんだ(涙)
今回もソレだ
蘭丸殿が信長様の命令を伝えにきた
・・・最初、こいつ誰だよ!、って思ったね
信長様が「お蘭!」って呼んでいるのを聞いてやっと判った
ほんと誰が誰だかわからんってばよ!
・・・ちなみに信長様は「吉法師」だった
三男だから「三郎」じゃなかったっけ?と思ったけど違っていた
いやもう訳がわからんから名前は一つにしてくれとおもったね
話を元に戻そう
お屋形様(織田信長)から命令がきた
農民に命令するなと言いたい
家臣が一杯いるだろうに
こちとら農作業で手いっぱいなんだ
金が払われないサービス残業は勘弁してくれと思った
完全にブラック企業だよな
大体、美女ばっかりの探偵事務所だと思っていないか?
あるいは不可能を可能にするスパイ
それか厄介事がオレの仕事だという探偵
絶対に勘ちがいしているぞ
まあそうは言っても泣く子と地頭には勝てないからな
いや地頭ではなくお屋形様なんだが
やらない、とう選択肢はなかった
・・・ちくしょう
今回の指令は
現在、座(商工組合)をなくそうと交渉しているが全然進まんから何とかしてこい(意訳)
というやつだった
教科書だと1行で終わっていたよな
でも実際は結構かかっているらしい
既得権ってやつだ
もちろん木刀担いで行ったよ
校舎の窓ガラス割るのに一番の武器だからな
ではなく農民は刀を持てないからだ
森蘭丸殿に案内されて座の連中が集まっている屋敷に行った
ちょうど偉そうにしている武士が
「座を解体しろとお屋形様がお命じになった!」
といえば
「庶民の生活のためです!」
と言い返していた
・・・どう見ても子供の喧嘩だった
まあ仕方がない
教育なんてものは影も形もないんだ
どこかの派出所のゴリラ君が一杯いると思えば正いのかもしれん
いやホントだから
理屈が全然通じないんだよ
自分の知っている小さな世界がすべて
井の中の蛙大海を知らず
とはよく言ったものだ
え?
空の青さを知る?
そんな訳あるかい
知っている者をいまだかつて見たことがないわっ!
・・・空の青さを知るという言葉を偉そうに言ってる馬鹿なら一杯知っているがな
話を戻そう
お屋形様(信長)からの
「座を廃止する」
を家臣が座の偉い奴らに伝えているのを柱の陰から確認した
第一フェーズ終了を確認
第二フェーズへ移行
内心飲んだくれの戦術予報士
遊んでいる訳ではない
必要なんだよ
殺るからには意識を変えないとね
人を殺してはいけないというダムドゲートは強力だからな
懐からお面を取り出して顔に付けた
もちろん自作だ
この世界にドン○ホーテはないからな
木を削って頑張って作りました(花丸)
顔を隠すと正体が判らないというのは古来からのお約束だ
どこかの3倍速い赤い人
西洋人なのに武士道を名乗るおとめ座の戦士
ほっかむりをするだけでもOKな国もあったっけ
オレが作ったのは鬼の面だ
あの人をリスペクトしているからな
お面を被って館に入っていった
もちろん成利殿と愉快な仲間達も一緒だ
・・・けっしてぼっちが嫌いだからではない
これからのひと騒動で人手がいるからだ
「き、鬼面組!」
座の幹部の一人がオレ(の面)を見て声をあげた
・・・いつ聞いても『奇面組』に聞こえてしまうのはオレの耳が悪いからなのかね
問答無用で土足で入った
・・・農民はいつも裸足だろというツッコミは要らない
木刀を振りあげて「鬼面組」と言った座の幹部の頭に叩きつけた
幹部は座った状態から後ろ向きに倒れていった
ちなみに倒れたのは木刀はかたい木を使っているからではない
木刀の遠心力が原因だ
力を込めて振りまわすと遠心力はとんでもないことになるんだよ
え?
説得?
お話?
もう家臣の人がやっているからそこは省略だ
はやく終わって田んぼの草取りをしないといけないんだ
そんな瑣末なことは無視だ無視!
それに言っても判らない人間はどんなに言葉を尽くしても絶対に判らないからな
未来のどこかの首相や大統領を見ていれば判るだろう
自分の聞きたい事以外は絶対に聞かない
・・・一体何考えているだろうと不思議だけど絶対に何も考えていないと思うとなぜだか行動が理解できる
まあそんなわけで
汚物は消毒だ~
というわけだ
・・・信長様と二人で悪党をせん滅していた昔が懐かしい
こちらには信長様がいるんだ
やりたい放題できるというものだ
<ガン>×10
座の偉い人間全員が床に倒れた
運がよければ生きているだろう
「さあやっておしまいっ!」
蘭丸殿が連れてきた手下に向かって命令した
・・・気分はどこかのお色気むんむんの悪の女幹部
あるいは2000年以上前の戦乱の時代の変態武将
クセになりそうだ
話し合いの場は座の幹部の家だった
だから高価な物に溢れていた
駄目だよ私腹を肥やしては
そう言う訳で座の幹部の地位を良いことに甘い汁を吸って溜めたお宝を全て没収することにした
没収した分はきちんと信長様が民へと分け与えることだろう
そこは信頼している
戦国時代は
お前のモノはオレのモノ
というジャイアニズム全開だ
だがお屋形様(信長)はその辺が潔癖だ
さすが有能ならば身分に囚われない効率廚
異端視されて家臣が理解できないもの肯けるというものだ
もちろんオレは信長様を支持するぞ
農民は貧しいんだ
今回ゲットしたお宝は川の治水に使われる予定だと聞いているから問題ない
いや座の幹部全員の家から没収だ!
山積みになったお宝が目の前にある
これを信長様の所に運ぶ訳だがやりたくない
はやく村に帰って草取りしたいからな
ふと目をやると座の幹部と交渉していた信長様の家臣がいた
<ピコン>
閃いた!
「あとよろびく!」
そう言って押し付けた
唖然としていたけどそこは無視
オレが立ち去ったら他に仕事する人は蘭丸殿くらいだ
二人して相談して運んでくれることだろう
・・・するよな?
「今日食べる米までも取り上げてました」
屋形に運び込まれた山ほどの品の説明をお蘭から受けた信長は頭を抱えていた
たった1日どころは1刻(約2時間)で解決したのはある意味凄い
だがやり過ぎだ
「大うつけがっ!」
信長様が叫んだのも仕方がなかった
・・・天下の『大うつけ』に『大うつけ』よばわりされているほどの異端児がこの国を変えるのはまた別の話
<おまけ>
なお座の偉い人間達はしばらくすると気が付いたらしい
唖然としたものの再び座を復活させようとしたらしい
ところがその数日後、バタバタと頭を抱えて苦しんで死んでいったらしい
座を作ろうとすると『鬼面組の呪い』で死ぬとの噂が広がったらしい
そんなわけでそれ以降信長様の領地では凄い勢いで楽市楽座が広まったのは別の話らしい