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40 お絹の災難(その3)
「まあ頑張ってくれ」
熊の言った言葉で空気が凍った
絹の主の帰蝶
信長に重宝されている熊
まさに一触即発の状態だった
下っぱ侍女の絹はどうしようもなくただおろおろしているだけであった
事の起こりは絹の髪を熊が洗ったことだった
最初は見ず知らずの熊に洗われることに困惑した
ところが洗われてたら気持ちがよく思わず寝てしまった
目が覚めたら帰蝶様以下に取り囲まれていたのには驚いた
侍女にあるまじき失態
「え?え?」となったのは仕方がないと言えた
まあ絹の髪がサラサラになっているのに気をとられていたようなのであまり問題になっていないようだったのが救いである
石鹸を使って洗ったのにこの違い
一体どういうことなのか
そんな雰囲気だった
まあそれはそうである
理容師は国家資格なのだ
見ただけでできるようならば誰も苦労はしない
某不敗格闘家の奥義をマンガで見たからといって再現できないのと同じである
プライドがあるために言外に教えろという帰蝶(とその侍女達)
知りたければ口に出してお願いしやがれという熊
見えない火花が飛び散った
わたしはどうしたらいいのでしょう?
絹は立ちすくむしかなかった




