23 信長の苦悩
「どんな意見でも咎めはせん、遠慮なく発言してくれ・・・」
信長は血を吐くような感じで言葉を捻り出した
森蘭丸を始めとする森家
守り役の平手政秀とその息子達の平手家
討たれた信勝についていた柴田勝家以下の家臣団
その他集めるだけ集めた家臣達に信長は無茶振りをした
信勝を討ち織田家を平定したまでは良かった
内紛を事前に潰したことにより織田家の被害は最小限に抑えられたと言って良いだろ
ところが敵は中だけではなかった
いや外の方が多かった
・・・お気楽にお家騒動をしていたツケが廻ってきたというわけである
主家筋の清州織田家
北の今川家
どちらもやっかいな相手だった
一つだけでも問題だ
それが二つもあるのだ
どちらかと戦えばもう一方が背後を攻めてくるだろう
それに気が付いた織田家家中の面々
敵も味方もなく一つになった(ようにみえるだけなのには笑える)
『富国強兵』を唱えたからにはとにかく成果が必要
弱みを見せれば見下されて攻めてくるだろう
案外心理的な上下関係は戦にとって最重要なのだ
勝てないと思う相手に勝つことなどできないのである
あるいは格下相手なら多少劣勢でもひるまずに攻めて勝ちを拾うことができる
武将にとっての常識であった
だから戦の前にお互いに己の正当性を主張し合うのだ
ところが家臣全員と話しあってもいい案は出なかった
日頃からデカイ口を叩いておきながらアイデア一つ出せないのか
熊の毒舌が聞こえてくるようだった
いや絶対に言う
あの平民は口が悪い
信長であっても遠慮がない
絶対に言うと確信していた
実は信長が
「無礼を許す」
と許したからである
信長は今になって後悔した
言わなければよかった、と
この大うつけども!
信長は自分のことを棚にあげて罵った




