表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
63/86

第六十三話 この世の終わり③

(これまでのあらすじ)


巨大台風が突然消滅した。ゾンビ大量発生の前触れだとニュースでは大騒ぎしている。

両親は旅行中。俺は友達を二人呼び寄せ、銃をカスタムした。


その後、青山君に留守番させ神野君とゲームをしに出かける。

 大型スーパーリオンは、最寄り駅から一駅の所にある。

 自転車で駅まで。それから電車で向かった。所要時間二十分。

 ゾンビ発生の予報が出ているため、リオンはがら空きだった。


 三、四階が駐車場で一階は食料品や化粧品売り場、二階にフードコートと専門店街……といっても立地が住宅密集地のため小規模だ。


 そしてゲームセンターがある。


 目的はトゥインクルハニーのアーケードゲームだ。俺達は二階へ続くエスカレーターに乗った。

 途中、食料品売場を通った時、スカスカの棚が目に入る。ゾンビ関連の報道のせいで買い溜めする人がいるのだろう。


 そうだ、帰る前に何か食い物でも買おう。確か家にはほとんど備蓄がなかったはず


 ゲームセンターには親子連れが一組いるだけだった。

 時計は夜の九時を指している。

 平日のこの時間はいつもこんな感じだ。


 神野君はリュックからカード専用のファイルを取り出した。

 ゲームに使うカードを選び始める。

 俺もたまにアーケードゲームはやるが、ここまでやり込んでいない。

 こういう所が「師匠」と呼ばれる所以(ゆえん)なのかもしれない。

 ファイルもキャラ別、ポイント順に細かく整理されている。大体、千枚くらいだろうか……


 神野君、さすが──


 トゥインクルハニーの筐体は二機だけだった。

 一機は親子連れが使用していたため、交代で遊ぶことにする。

 隣で母親と遊んでいた女児は、神野君のファイルを凝視した。丁度ゲームが終わり、得点が出るのを待っていたようだ。



「すごい……キラキラカードがいっぱい……」


「駄目よ。ジロジロ見てはいけません」



 小学校低学年くらいのその子に母親が注意する。

 俺達が来たために、母親は筐体の上に並べたカードをしまい、帰る準備を始めた。


 そりゃそうだ。

 夜中に大人の男二人が子供向けゲームの前にいたら、怖いだろう。

 けどな、昼間はお前らが陣取っているために夜しか遊べねぇんだよ。

 

 神野君はメダルカップに数千円分の百円を入れていた。

 見せつけるようにカップ内のコインをかき混ぜる。

 大人はこうやって遊ぶんだ。

 一度に数千円使うんだよ。



「やだぁ。まだ遊ぶーーー」



 帰ろうとする母親に反抗する女児。

 女児よ、帰りな。

 ここからは俺達アダルトの時間だ。



「せっかく空いてるから来たのに……やだ、絶対帰らない! だってまだ千円分遊んでないもん」


「ダメよ。もう遅いし帰りましょう。ゾンビだって出て来るかもしれないし……」


「やだやだやだぁーー! キラキラカード出るまでやるんだぁーーー」



 結構、我が儘な子だな。

 三次元のガキ、可愛くねぇ……


 早くどいて欲しい俺は親子のやり取りに聞き耳を立てる。

 神野君はスキャンするカードを選び終えると、ゲームをスタートさせた。


 ゲーム自体は幼児でも出来る簡単なリズムゲームだ。簡単、普通、難しいの三段階から一応選べるようになっている。


 まず、ゲームに使用するカードを四枚スキャンする。(無くても出来る)

 カードにはキャラが様々な衣装を着ている絵が印刷されている。スキャンするのはトップス、ボトムス、靴、アクセサリーの四種類である。

 スキャンによって下着姿だったキャラに服を着せていくのだ。カードに表記されたポイントが加算され、組み合わせ次第ではボーナスポイントがもらえる。

 キャラと衣装が決まったら、今度はステージだ。ステージに相応しい衣装を合わせるのも重要である。更にポイントが加算される。


 ステージを決めて、いよいよリズムゲームがスタート。ゲーム終了後、高得点を出せれば、より高ポイントのカードをゲットできるという仕組みだ。

 

 母親にお菓子を買うことを約束させ、何とか女児は筐体から離れた。

 

 さあ、俺達の時間だ。

 俺と神野君は並んでゲームを始めた。


 大人の場合はゲームよりカードが目的だ。

 アニメでメガトゥインクルスターライトトランスフォームという変身の二次形態が公開されたため、イベントをやっている。


 メガトゥインクルスターライトトランスフォームというのは……まあいい。


 ゲームすること、十五分……

 一ゲーム大体五分くらいだ。四回目に突入した頃……



「グググググ……」


 何か痰の絡んだような変な声が聞こえた。

 


「神野君、何?」


「……は? ガシュピン、何か言った?」



 神野君は筐体の画面を睨み付けたまま、手元のボタンを連打している。


 気のせいか……いや、んな訳ねぇ!!


 嫌な予感がして振り向く。

 案の定……

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] めっちゃ面白い! ある意味究極のリアル! ゾンビ発生中って聞いても実際目の前に現れるまでは登場人物誰も彼もてんで緊張感ゼロ。 ゾンビと生きるか死ぬかの死闘のあとも喉元過ぎればなんとやら。 …
[一言] きた~~ 待ってた! 親子大丈夫かな?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ