自称【女神】
OTL状態のまま数分が経った。
「相良さん、大丈夫ですか?」
美女の自称【女神】さんは落ち込んだ俺に声をかけてくるが、そんな場合じゃない。こんな訳のわからない良くあるネット小説にあるような世界に来て生きるしか道はないと言われてもどう答えを返せば良いのか、答えはでなかった。まぁ、戻れない以上【イエス】しか選べないが。
「自称って酷くないですか?流石に神に対してそんな酷い事言う人は神を信じない山賊くらいですよ・・」
自称【女神】と言われた女神は落ち込んだ様な言い方をした。しかも山賊に会った事があるような口ぶりだ。
「あ、すいません、未だに現実を受け入れられなくて・・ていうか山賊に会った事あるんですか?」
「ないですよ?ただ天界から地上を見ているとたまーに行商人が山賊に襲われていて、【あぁ!神よ!どうか我々をお救いください!】って言ってる所を見かけるのですが、【ウハハハ!こいつ神なんてもん信じてるぞ!居るわきゃねぇーだろそんなもん!】って言ってるので山賊はほとんど神を信じていないのかと思いまして。」
どうやらたまーに地上とやらを覗き見してるようだ。というか見てるなら助けてるのかな?
「覗き見なんて酷い言い方しないでください・・。我々神はこの世界の成り行きを見届けているだけなのです!ですから傍観していると言ってください。あ、あと襲われたりしてる人はイチイチ助けたりしませんよ?そんな事してたら世界がメチャクチャになりますからね。」
「そうなんだ・・」
神の世界も意外と世知辛いのな・・仕方ないと言えばそうなのかも知れないが。
ていうか、俺こんな世界で生きていけんのかよ・・よくある剣と魔法のふぁんたじー感溢れる世界じゃねえか・・。どうやら選択の時が来たようだ。
「それより、どうしますか?新しく生まれ変わり生きていきますか?それとも今の姿形を形成して生きていきますか?」
うわぁ嫌だな、ゲームとかだったらこういう感じのは大歓迎なんだけどな・・いざ自分の身になったら怖いな。でももし良くある話で転生したら最強だったみたいなそんな感じになれれば・・。
「本当にその2択しかないんですか?てか、もちろんメッチャ強いステータスとかスキルとか貰えるんですよね?ネット小説とかでよくある感じの!」
女神は少し首をかしげた。
「その'ねっとしょうせつ'?とやらは、よく解りませんが、相良さんは特殊な事例なのである程度は優遇されますよ。ただメチャクチャすぎたら世界の均衡が崩れかねないので、というかその強大な力でこの世界を滅ぼされたら困るので、強すぎる力は持たせれませんよ?そこはご了承くださいね。」
持たせれないって事は、この女神は世界を滅ぼせる程の力を人に与えることが出来るのか・・。つーことはこんな美女でもメチャクチャ強いんだろうなー。と考えていたら。
「ゆっくりと決めていただいても構いませんので決まったら教えてくださいね。あと、分からない事や知りたい事があったら教えますので言ってください。」
「じゃあ遠慮なくゆっくり考えてから決めます、あ、それから貰えるスキルって1個だけですか?複数もらえますよね?人の人生メチャクチャにしたんですからね?」
「むぐ・・はい・・、大丈夫ですよ、念のためにも言いますが余りにも危険と判断したら無しですからね?ね?」
こりゃじっくり考える必要があるなー、ちゃんとしたのを考えよう。
「ほーい、わかりました、あと何か見られてると居づらいのでちょっと離れた所でじっくり考えますね」
「そ、それもそうですね、では私はここで本を読んでるので決まったら声をかけてください」
と言うとその女神は何処から取り出したのか手には表紙に【となりの神様は見た】と書いた本とそれまた取り出したイスを用意して本を読み始めた。
何だあの本・・メチャクチャ気になるタイトルだったぞ・・つーか、あの本とイスどっから出したんだ・・・まぁいいや時間はあるし良い能力でも考えよっと。
相良にはどれくらいの時間が経ったか分からないが1時間程して女神に声をかけた。
「あのー女神様?大体のスキルが決まったんですけど、あと相談にも乗ってください。」
「結構早かったですね~、1時間くらいでしょうか。じゃあまずは決まったスキルから聞いていきましょう!」
パタっと本を閉じた女神はどこかノリ気味だったが、相良が考えたスキルは破壊を目的としたスキルや強大な力では無かった。
まず考えたのは、剣と魔法のふぁんたじー感溢れる世界だから、そこそこ強い魔法を色々覚えようかなと考えた、しかしここで剣や魔法のスキルを覚えなくても誰かに教われば出来るんじゃないか?と疑問を持った。まぁこの世界が小説なんかにあるアルアルな世界だったらの話だが、これは女神に色々相談してから決める事にした。
そして、以外にもスキルを貰えると聞いて第一に思いついた事があった。
地球で家電開発部門として会社に勤めていた自分の毎日は、ほぼ書類と格闘しているだけだった、しかしそんな自分でも家に帰ればアレやコレやとこんな家電があったらとかこんな物が作れたらとか妄想していた。だからこそこっちの世界で妄想を膨らませていた自分の夢を叶えられるのでは?と思ったのだった。だが、自分には電気や電子の工学は無いのだ。
ずっと働いてきたからな・・。
ノスタルジックな気分になりながらも苦笑いしか出なかった。しかし不思議と自信に満ちた顔つきになった。何故ならこれから生きていく世界は剣と魔法のファンタジー溢れる世界だからだ。学が無くとも魔法でチョチョイとどうにかなるのではないか?と思ったのだった。
「と言う訳でして、どうですか?」
女神は小難しい顔をしていた、むむとかぬぬとか口から漏れていた。
あーやっぱりダメだったのかなぁ、何て言ったっけ・・オーバーテクノロジーすぎたのかな・・?聞いた所によれば中世の様な感じらしいし。と女神の顔色を窺うように見て居ると。
その顔は次第に笑顔になり・・。
サブタイトルは本文から適当に選んでます。