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その後

プールサイドで服の裾をぎゅっと絞ると水がぼとぼと流れ出た。

立っている足元に水溜りができる。水を吸って重たくなったパーカーを脱ぎ捨ててベンチに置いた。

下に履いてる体操服もぎゅっと絞ってみる。水溜りが大きくなる。

「お前、なにやってるんだよ」


手を止めて真岡くんの声に顔を上げる。

「いっぱい出て面白い」

「そうじゃなくて、それ」

顔を逸らして彼が指差す先を辿れば私の太ももだった。

水を絞るために体操服が引っ張られていつもは見えない短さになっている。ショートパンツみたいだ。

上に着てる服も濡れて下着が透けている。

「……えっち」

私がぽつりと呟けば、彼の耳にしっかり届いたみたいで赤くなった。

笑い声を立てると彼が怒ったので、水を絞るのは止めて室内から出ようとパーカーを引きずった。


「古川」

振り向けば、頭からタオルをかけられた。

「風邪ひくなよ」

「うん、着替えてくるね」





「真岡くん、タオルありがとう。洗って返すね」

変わりに私の持ってきたタオルを真岡くんに貸そうと、タオルを差し出して言葉を続ける前に彼が言った。


「……なんで戻ってきたんだ?」

「なんでって、この後部活だよ?」

制服に着替えてプールサイドに戻ったら大きな溜息を吐かれた。

せっかく急いで戻ってきたのに。

「……髪、濡れたままだろ」

「あ、忘れてた」


私が手に持っていたタオルを奪うように取られて、頭をがしがし拭かれた。

「真岡くんのタオルは?」

髪の毛が目に入りそうになって目を閉じれば、手が緩められた。タオルが髪を優しく撫でる。

「予備の、持ってきてる」

なんだ。私のタオルは必要なかったのか。真岡くんも濡れてるのにな。

ん、濡れてたよね?


そろっと目を開けて見ると彼の髪は少し乾いてるみたいだった。

もしかして私が着替えてる間に乾かしたのかな。

うーん。でも、少し濡れてる?

後でプールに入るからどっちでもいいのかも。


真岡くんはプール入れていいなぁ。


「私も水着持ってくればよかった」

「は?」

「水着なら濡れても大丈夫でしょ。プールに入れるし、――」

「駄目だ」

なんだかすごい勢いよく拒否されました。

プール入っちゃ駄目ですか?

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