シャンプー転生魔法で人生をやり直す!?
「あんた、地味なのに何目立っちゃってんのよ」
高校の教室で国語の先生の話を訂正したときにクラスメイトのヤンキー女子に言われた。
それからというものの、社会人になった今でも目立たないで過ごすという考えが消えない。
地元から離れられなかった。
私はしがない事務員だ。
なぜか高校のクラスメイトは皆地元から出ていない。
休日で見かけたりすれ違うような田舎だ。
本当はもっとオシャレをして出歩きたい。
私が、周りに気づかれないくらい別人になれれば……!
神様……どうか私を別人にしてください。
眼鏡姿におかっぱ頭、黒の上着にジーパン姿の私の前に広がる夜空に流れ星が一筋流れた。
「あ!流れ星!ん?消えない?こっちに来る!?」
流れ星が私の前で止まり、星形頭に足が生えた妖精が見えた。
「お願いごとはそれかい?」
「あなた誰?」
私は驚き尻もちをついた。
「僕は妖精さ」
「……妖精?まさか……でも……私の願いを叶えられるの?」
「そんなのお安い御用さ!」
コンクリートに腰が抜けたように座ったままの私に、妖精は緑色のダイヤ型の容器に入ったシャンプーを差し出した。
「これは……?」
私が訊くと妖精はフフッと無邪気に笑って答えた。
「これはね転生シャンプーといって魔法の力で髪の色も顔も変わっちゃうんだ!だからね、知人に会ってもバレないよ」
「すごい……!」
目を輝かせた私に「使ってみて。これは僕と君が会えた奇跡に感謝してあげるよ」
「本当に!?」
「うん!じゃあまた会える日まで」
妖精はそう言って消えて行った。
私は5分ほど座り込んだまま立ち上がれなかった。
立ち上がり、足早に歩いた。
目の前の交差点を左に曲がり、五分ほど歩いて踏切を渡った。
3軒先に見える自宅に帰り、すぐさまシャワーを浴びた。
転生シャンプーを頭につけ泡立てシャワーで流し、鏡を見た。
「うわ!」
鏡に写っていたのは元々の黒髪一重の私ではなく、ピンク色の紙をしたぱっちり二重の女の子だった。
すごい!これで明日は別人として休日を満喫できる!
こうして私による私でない人生が始まった。




