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神通力少女は何がなんでも『普通』に生きたい。  作者: 宇宙 翔(そらかける)


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新学期、隣の席は学年一のアイドル

わたし木花友梨奈このはなゆりな、十四歳。

F市M中学の、今日から三年生。


人生の目標は、『普通』に生きて、『普通』の幸せを掴むこと。


……なんだけど。

小四の時、霊が視えることがクラスでバレて以来、変なあだ名をつけられ、

陰キャでぼっちな学生生活を送っている。


それ自体はもう慣れっこだし、

地味で目立たず生きていければ、それで良かったのだけれど――。



今日は学校の始業式。


M中学は、二年から三年に上がる時にもクラス替えがある。

将来、幅広い交友関係を築くための練習とかなんとか。


大人たちの建前はどうでもいいし、

わたしはぼっち生活だから、誰と同じクラスになろうが影響は無い。


今まで、そんなイベントに関心を持ったこともなかった。


でも……今年に限っては、そうじゃなくなってしまった。


「梨奈と一緒のクラスだと良いな〜!」


昨晩、麻由からスマホにメッセージが来た。


「そうだね」


一応そう返したけど、

クラス替えの結果次第では、『普通』生活の重大な危機だ。


もし学年のアイドル的存在の麻由と同じクラスになって、

いつも一緒にいることになったら――


地味で目立たず『普通』でいるどころか、

クラスで二番目の注目株になってしまう。


本人の人気に基づく二番ならまだしも、

一番人気の影響で悪目立ちしているだけなんて、全然嬉しくない。


ましてや、

麻由の周りに集まる不特定多数の人と交流するとか、絶対無理……。


 

麻由には心の中で謝りつつ、

一緒のクラスになりませんよーに、と最大限の念を込めながら学校に向かう。


おばあちゃん――もとい、みどりさんに、

こういう時に使える神通力じんつうりきが無いか聞けば良かったかもしれない。


変な能力はいらない。

でも、自分の役に立つ能力なら大歓迎だ。


 


いつもよりかなり早い時間に登校したせいか、

校門が近づいても、周りに生徒の姿はほとんど無い。


しんと静まった生徒玄関から入り、内ばきに履き替える。

下駄箱の横にある掲示板へ、足早に近づいた。


三年一組から順に、生徒名簿が貼り出されている。


一クラスずつ、名前を目で追っていく。


「あぁ……」


思わず、ため息のような声が漏れた。


こういう学校イベントでは、

やっぱり陽キャの学年アイドルの運気が勝つ気がしていた。


 


三年三組教室。


誰もいない、静かすぎる教室に入ると、

黒板に先生が決めた席順が貼ってあった。


友梨奈の席は、想像通り、いつもの定位置。


担任にとって、クラスの平穏を考えれば当然の配慮だ。

基本は出席順らしく、カ行のわたしは一列目で違和感が無い


馴染みの、窓際一番後ろの席に座る。


窓の外には、校庭と、その横を通る校門までの道。

これから一年間、見続けることになる景色だ。


(校門まで見えれば、

 あかねが来てる時は裏門から逃げられるのに……)


 

「早いね、梨奈。クラス替え、期待してた?」


ぼーっと外を眺めていたところで、耳元に囁かれた。


この展開にはだいぶ慣れたので、

以前みたいに机と一緒に飛び上がることはなかった。


振り返ると、

ニコニコ笑顔の中瀬麻由が、隣の席に座っている。


「麻由も……なんか早いじゃん」


「昨日から、こうなる予感がしてたから。

 ドキドキワクワクで、早く来ちゃった」


「あとね、

 そうなったら確認と調整が必要になるって思ってたから」


「……?」


「じゃあ、梨奈。また後で」


謎の言葉を残して、麻由は教室を出ていった。


昨夜は不安でなかなか眠れなかった友梨奈は、

大きな欠伸をして、机に突っ伏す。


そのまま、うとうとし始めてしまった。


 

しばらくすると、登校してくる生徒が増え、

教室内はガヤガヤとうるさくなってきた。


顔を上げると、口元が少し濡れている。

慌ててポケットからハンカチを取り出し、押さえる。


その時――

まるで自動ドアみたいに、教室後方のドアがするすると動いて閉まった。


ドアの外から、女子生徒の声。


「え? なんかドア開かないんだけど」


「建て付け悪いんじゃない? もっと力入れて」


「入れてるってば。ほら、一緒にやってみてよ」


「あれ? ほんとに動かない……

 内側で誰か押さえてるんじゃない?」


教室内で、ほくそ笑む一人の男子生徒。


騒がしくなった後方のドアを見つめる友梨奈。


――その瞳は、

静かに、確実に、紅く染まり始めていた。


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