本当の異世界デビュー
10階ゲートからスタートした探索は順調に進んだ。既にマッピングを終えているので下僕達は外で待機させている。正直あの2匹の事や武器や闇属性の効果も極力話さないようにしている。マリーを疑っている訳ではないが【油断】はしないよう心がけているからだ。知られていない事が最大の有利、だからこそ初見が必殺になり得る。浮かれた頭でもその辺の線引きだけはちゃんとしているのは流石年の功だろうか。とは言えダンジョン内では身を寄せ合う事が多いのでイレギュラーに胸が何度も当たるラッキースケベが嵐のように巻き起こっている。この異世界では俺の相手を出来る女性が居ないからなるべく意識しないよう心がけてはいたが、意識しないよう意識すると結局意識してしまうと言うもうゲシュタルトがなんか…(フワッ)あ、また当たった。何だっけ?ゲシュタルトがえっと、ダメだ。全神経が右肘に集中してしまう。とは言えまだまだ17階層なので全力でおっぱいを楽しんでいても危険は無いと俺の年の功が判断した。続行だ。
で、あっという間に20階ボス部屋前に来てしまった。もっと道に迷っても良かったんじゃ無いかと反省をする。
「一回も迷わず来るなんて凄いね!何回も来てるって事だよね!」
雑魚周回をしていると思われているのか素直に尊敬なのか、無邪気な笑顔は恐らく後者だと言っている。
「俺が前に出て足止めするからその間に魔法で削るっ感じでいい?」
「え?そんな大雑把でいいの?立ち位置とか合図とかフォーメーションも数パターンは決めておいた方が良くない??」
そっか、この異世界の人にとってこのバフォメットは割と脅威なんだ、て事はやっぱり素直に尊敬されてるのかもしれない。なのでマリーがやり易いようアレコレ決めている間に2パーティーがボス部屋に入って行った。
決まった内容は俺が前に出てその間にマリーが削ると言う当初の案だったが、作戦会議中はずっと前屈みで微妙に谷間や膨らみが見えていたので苦もなく有意義な会議が出来た。
「さて、行きますか」
重そうな石の扉の向こうには久々に会うメーたんが待っていた。
「メ゛ェェェ!」
「え、ちょっ…」
特に構えもせず普通に歩いてメーたんの前まで行くと距離を取ろうと逃げるのでマリーに背を向けるように追い込む。何度か軽く切りつけ呪文の詠唱をさせないように気を配る。厄火のせいで回復が出来ないでジワジワと削られるメーたんにマリーが水の槍で背中からトドメを刺してフィニッシュ。
「いいぃぃヤッタァ!!!!!」
嬉しさの余り俺に飛びついてくるマリーは柔らかくそんな事ばっかり考えてしまう自分がしんどい。魔石を取り出しメインイベントの宝箱へ。
「あっちゃあ〜(笑)」
マリーが大笑いしながら座り込む、覗き込むと中には銅貨のみだった。宝箱は大ハズレだったがこう言うのも悪く無いなと感じていた。すっかり暗くなった帰り道を早足で街に戻り魔石の買い取りをギルドに依頼、その時に職員に話しかけられた。
「ソロでの討伐ですか?」
「いや、今日はあそこにいる子と2人で」
「普段はソロですよね?」
なんか含みのある言い方に取ってしまう、歳の差考えろよとか言われている気がして仕方ない。
「いえね、最近ソロを狙った強盗が流行っているので気を付けて下さいと言う注意喚起です」
あぁ、ビックリした。しかしそんな物騒な事が流行ってるのか…確かに女の子1人じゃ格好の餌食だもんな。つつがなく買取も終わり報酬を山分けして本日は解散。
「宿まで送って行こうか?」
しまった、さっきのギルド職員の言葉が頭をよぎって何の気なしに言ってしまったがコレはいけない。大失態だ、訂正を…
「大丈夫!アレだから」
すぐ向こうに見えている宿を指差し笑顔で答えるマリー。ホッ、良かった。
「そっか、じゃあまたなマリー」
「今日はありがとうロキ!また誘ってもいい?」
「もちろん」
その日の酒は美味かった。
体調も万全に戻り再び探索開始の時が来た。2人での探索も楽しかったが、やはり本気で燃えるのはソロに限る。そう言えばアレから弾丸精製のイメージトレーニングも毎日して、大粒弾100gと小粒弾50gの2種類の精製に成功した。取り敢えず大粒なら5発、小粒なら10発に止めるよう心がける。気持ち悪くはならがギリ運動能力を損なわずにいれる限界がそれだからだ。ま、余程のことが無い限りは使わないだろう。名は【闇苦無】と名付けた。
それから数日は探索してトール君の家に行ってといつも通りの日常を送っていたがその日は俺の宿の前でマリーとバッタリでくわした。
「ロキ!おはよう!ここに泊まってるんだ」
「おはようマリー、今からダンジョン?」
「そうよ、一緒に行く?」
「いや、俺はトレーニングなんだ」
「トレーニング?何の?」
これはこっちの世界でトレーニングと言う概念が無いわけでは無く、冒険者や傭兵が普段からトレーニングをする習慣が無いだけだ。毎日本番をこなしているのだから毎日鍛えていると言う考え方で、訓練の様な事をするのは騎士団だけらしい。
「努力家なのねアナタ」
マリーは俺が普段何をしているのか興味があるらしく、トレーニングを見たいと言い出した。まぁただの筋トレだしと思ったが尋常じゃない腕力は立派な武器と思い直しその日はひたすら走ったり腕立てだけにした。その後ダンジョンに入りに行く。
「あれだけやってからダンジョンなんて…アナタ一体何を目指してるの?」
「いや特には。ただ探索が好きなだけだよ、探索をする為に鍛えているって感じかな」
その日からなし崩し的にマリーとパーティーを組むことが多くなった。
今日は久々にトール君ちに来ている。
「へー!そーなんですね!ついにロキさんにも春が来たってワケですか!?」
「いや、多分そんな感じじゃ無いだろ(笑)」
「いやいや、この世界は戦国時代と変わらないですから50歳が15歳を娶るなんて事も普通に有りますよ!」
夢のある話ではあるが別に結婚したいワケでは無く俺は正直【冒険】がしたい。だってこんなの楽しすぎるだろ?
「でも最近ソロを狙った強盗の話を頻繁に聞きますから気を付けてくださいよ?」
「分かってるよ」
「いえ、ロキさん、本気で理解しておいて下さいね」
「お、おうん」
珍しくトール君が神妙な面持ちで力説する。
「襲われたら相手を殺す事に躊躇しないで下さいね、この世界モンスターより人間の方が怖い場合もあるんですから」
なるほど、いざその場面に出くわすと確かに殺人は躊躇うかもしれない、ほんの一瞬の隙が死を招く事はこっちに来てから嫌と言うほど経験した。
「分かった、今ここで覚悟するよ。俺は自衛の為なら指す人も厭わない」
「またこうしてお酒が飲める様に乾杯!」
こうして久々に飲み明かした。
翌朝、二日酔い程では無いがダルさの残る寝きとなった。
「ローキー!」
窓の外には元気なマリーが俺を待っていた。曇り模様の天気にダルさも有り、今日は休みたいと思っていてもそれはマリーが許さないだろう。
マリーが部屋まで入って来て支度を催促する。朝の爽やかな空気とマリーの発光してるのかと思うほどの白い肌は寝起きのJr.を無駄に刺激する。非常に着替えがしにくい…水泳の時間の着替えの様にうまく隠しながらサッと着替えて外に出ると、今にも降り出しそうなのでマジで休みたいがマリーは早く早くと急かして来た。
道中やはりパラパラと雨が降り出した。正直言ってずぶ濡れで探索は嫌だな〜と思っていた、今引き返せばずぶ濡れだけで済むんだがマリーはあまり雨を気にして無い…と言うか普段からウィザードがよく着ているピッタリしたワンピースがボディラインをあらわにしていたが、今は雨でピッタリどころか張り付いて完全にスタイルが丸分かりだ。こんなのもはや裸と変わらない、てか裸よりエロい。正直これを見たさに「引き返そう」が言えないでいた。雨で濡れて鬱陶しいのか綺麗な長い髪を後ろでひとまとめにして発光しそうな程白いうなじが姿を表した。隣の美人も気になるがもう一つ気になることが有る。宿を出てからずっと後を付けてくる奴らがいて後方を左右に分かれ茂みからこちらを伺っている。1人は戦士タイプ、1人はクレリックかな?、今噂の強盗かもしれない。まさか自分たちがオロチとフクロウにそれぞれダブルマークされているとは知らずにコチラに注意を向けていてどうやらマリーを狙ってるようだ。引き返さないでよかった、俺のいる時に襲ってくれれば一安心だ。逆 こうなると襲わせるタイミングを考えなければならないがすぐに思い付かない、ワザと隙を誘うのってもの凄く難しいかもしれない。とにかくしばらくはそのまま歩いていたが、しばらくすると少し道から外れた所に雨宿りに良さそうな大きな木が立っていたのでマリーがそこでしばらく休憩しようと提案して来た。ちょうどいい、来るならこのタイミングだろう。大木の下で荷物を下ろして服を絞ったり身体を拭いたりしていた。後をつけて来た男達は左右に分かれ配置に付いていたが、気になったのは正面にもう1人、シューターが弓を携えてスタンバイしていた。途中から合流したのでは無く最初からソコに居た。
「引き返せば良かったかもね、ごめんね」
マリーが申し訳なさそうに謝ってくるが眼福この上ないサービスを貰っているので俺は一向に構わない。
「怒ってる?」
「いやいや全然、たまには雨に濡れるのも良いもんだよ」
良いワケが無いのに訳のわからない不細工なフォローを入れてしまう。こんな時モテ男はどんな返しをするんだろうね。
「すっかり冷えちゃったね、温めるね」
そう言ってマリーは急に屈んで俺のベルトを外したズボンを下ろした。俺も野暮じゃ無い、その行動が何を意味するかは分かっている。分かっちゃいるんだが…
マリーはズボンを下げた後、Jr.とご対面してそのままフリーズしてしまった。俺は止まったままのマリーに声をかける。
「どうしたの?してくれないの?」
「いや…これ…」
「ああ、ちょっと大きいかもだけど」
「いや、ちょっとどころじゃ…」
「いくら待っても矢は飛んでこないよ?」
「えっ!?」
俺の真ん前のシューターはオロチに噛まれて泡を吹いているがじきに死ぬだろう。
多分打ち合わせではマリーがしゃがんだ時が矢を放つタイミングだったのだろう。突然のトラブルに控えていた2人が姿を現し襲いかかって来た。
「ウォーターバインド」
足元のマリーが呪文を唱えると水がみるみる足に絡みつき自由を奪う。荷物と鴉丸はマリーの後ろに位置していて多分最初から狙っていたんだろう。
左の戦士タイプは剣を、右の奴はメイスを持って近付いてくる。
「うぁっ!」
その時右のメイス男の頭にフクロウが来てちょうど目の位置に爪を立ててとまり無力化。残るは左の戦士タイプ、奴は余裕の顔でロングソードを振りかぶる。そう言えばマリーには一度も見せてなかったな、腰に下げたメインウェポンの鎌鼬を。
敵が振りかぶると同時に鎌鼬で股下から上へ逆袈裟懸けで一刀両断に伏せる。 ドシャッ
男はそのまま左右に分かれて倒れ、ひざまづいて俺の足を抑えたままのマリーは絶望の表情を浮かべている。その絶望な打ちひしがれた綺麗な顔を左手の甲で払いのける。
バシッ! 「キャッ!」
軽く払ったつもりが彼女の鼻から大量の血がボタボタと滴り落ちて雨と泥の中に血溜まりを作る。俺はズボンを上げながら正面の草むらに潜んでいたシューターの髪を掴み引きずってマリーの目の前まで持って来た。 ドサッ
死んでいるのを確認した後、今度は目を潰されたメイス男を引きずってくる。 「ひ、ひぃぃ!」
「マリー、他に仲間はいるか?」
「あ、あぁ…」
気が動転しているのか喋れないでいるマリーに露骨にイラついた声を出す。
「マリー!他に仲間はいるのかと聞いている」
「い、い、いません!」
勿論下僕達に索敵をさせているので居ないのはわかっている。
「あ、あの、ごめんなさい、襲うつもりとかそんなつもりじゃ…」 ドスッ
鎌鼬の刃がメイス男の後頭部から刺さり口から出ている。
「ひぃ…」
「あぁ悪い、続けてくれ。何だっけ?悪気がどうとかほざいてたな」
「ご、ごめんなさい、ごめんなさい!殺さないで下さい!」
あの晩のトール君の言葉が頭をよぎる。【殺す覚悟を持ってください、迅速に速やかに必ず殺してくださいね、僕との約束ですよ】
「マリー、でもお前らは俺を殺して奪おうとした。お前も俺も平等だ、別に恨んじゃいない」
俺的にはマリーとの時間は結構楽しい思い出だった。はしゃいだり喜んだり宝箱がハズレで笑ったり…雨のお陰で涙がバレなくて良かった。色々な感情が雨に流されていく、情愛、友情、青春、信頼、
「はぁ…しゃーない。切り替えていこ!」少し大きい声で自分を励ます。それを聞いてマリーは恐れ慄いて命乞いをする。
「お願いします!何でもしますからお願いします!何でもしますから命だけは!お願いします!」
何でも… ドクン
雨の中必死に土下座をする彼女の肌は泥水まみれでも相変わらず美しかった。雨を弾くきめ細かい肌、身体に張り付いた薄い布は土下座をしている彼女のボディラインをひときわ目立たせる。
「何でもする?」
「はい!!!何でも致します!お願いします!」
コンビニ店長が万引き女子高生に言わせたい言葉第一位の言質を取った。
大家さんや借金取りが言わせたい…とにかくだ、さっき色々な感情が雨で流されてしまったとか言っていたが、今の言葉で改めて沸いた感情それは【欲情】だ。今はもうその事しか考えられない。理性が働くが正当性は俺に有ると理屈が後押しする。生殺与奪は我にあり。俺はゆっくりとマリーの後ろに立った。
「ッグッごめっなさい!ごっめっ…ごめっひっく」
マリーは土下座のまま鼻血まみれで泣いてしゃくり上げながらごめんなさいを連呼する。俺は後ろから脚を開けさせ肌を傷付けないよう鎌鼬でゆっくりと服を裂いた。細いウェストと下着だけの形の良いヒップがあらわになる。
「あ、ありがとうございます!ありがとうございます!」
彼女は鼻血を出しながら歓喜の笑顔になり、その言葉は命乞いからお礼に変わった。