獲物
霊夢「夢想転生」
それが返答だった。それを避ける。
霊夢「危ないわね。あと一歩発動するのが遅かったらどうなっていたかわかってるの?」
黒狼「主人公は死なないように世界はできている。」
黒狼は歌いだした。もちろん鼻歌でだが。
んーんーんーんんんんんんんんん〜
結構不気味だった。音は合っているのにまるで機械に歌わせたかのような無機質な音だった。
黒狼「無敵貫通」
夢想転生状態の霊夢にダメージを与えた。
霊夢「は?」
痛みに驚きを感じるまもなく攻撃の嵐が降り注ぐ。それを二重結界で防ぐので精一杯だった。
ががっががっっがががっがががっががががが
どんどんその速度は上がってくる。止まらない。
霊夢「ふっ!!二十重結界」
二重結界が割れた途端霊夢は咄嗟に二重結界の量を増やした。二重だからって20はないでしょというのは当然の如く受け付けることはない。黒狼はそのまま攻撃を続ける。
霊夢「夢想封印・烈」
より苛烈な夢想封印が黒狼を襲う。黒狼はその攻撃をそのまま喰らった。
黒狼「ゴフッ、、、やはり主人公には補正がかかる。この世界ではお前が脅威となり得る存在だ。」
本来ならば下手な攻撃は無効にできる黒狼がダメージを喰らっていた。“この世界の攻撃に耐性がない“ということもあるが、主人公は当然のことながら敵を倒さなければいけない。だから当然負けイベント以外は強化が入る。黒狼は別世界の住民だ。だから当然負けイベントには含まれない。だから当然ダメージが入るように調整するし、致命傷が避けられるようにストーリーが展開されるし、何よりも勝てるようにされる。まあそれが当然だろう。だが黒狼だ。そんなことは関係ないとばかりにストーリーに介入し壊す。口元に右手をかざす。
黒狼「喰らえ。喰らえ、喰らえ。暗く、より黒く。スペル・暴食。」
どの世界の暴食だろうか。詠唱が必要らしい。そしてこの世界に適応したスペルカードとして能力を作り変えられていた。その漆黒と呼ぶに相応しいエネルギーの奔流は二十重に張り巡らせていた結界を一瞬にして食い破り、霊夢に食らいつこうともがく。霊夢は咄嗟に結界を足場にし跳躍した。だが、判断は少し遅く、脚を食われてしまった。
黒狼「やはり殺すとまでは行かんか。世界を壊すのは怒られるし、かといってこいつに情報は与えられんしな、、、。」
少し悩んでるうちに、
霊夢『解符「療紳」』
回復された。本当に厄介だ。でも息は上がっている。そのあとは黒狼が一方的に殴り続けているだけだった。結界で防いだその上で破りダメージを与え続けた。気を失いそうになるころに霊夢は黒狼がこう呟いたのが聞こえた。
黒狼「チッ、、、面倒なのに見つかったな。」
黒狼は去って行った。場所はもちろん紅魔館。その存在とは合わぬようにすれ違った。まあ気づかれているようだったが。面倒だ。なんて言われるかわかったもんじゃないしな。
紅美鈴「黒狼!大丈夫ですか!?すごい血の量ですよ!?」
黒狼「ああ。問題ない。返り血だ。あと俺はいつもこうだ。
紅美鈴「え?、、、ウワアァァシャベッタァァァ!!」
黒狼「・・・。」
黒狼は無視をして敷地内に向かおうとする。
紅美鈴「もう一回喋って見てくださいお願いします。ペットが喋るなんて滅多にないですから。」
急に近くにきた。うざい。
黒狼「うざい。邪魔。」
黒狼はさっさと紅魔館の中に入ってしまった。
紅美鈴「、、、そういえば誰の返り血だったんでしょう?、、、まあいっか。」
紅美鈴はお昼寝の続きをすることにした。そう。別にここ以外がどうなろうとどうでもいいのだ。流石に友人を害されるのならば良くは思わないが、幻想郷と紅魔館のどちらを取るのか選択するとしたら紅魔館の人?たちなのだ。そのほかは二の次だ。
紅魔館の中に入るとレミリアにものすごく心配された。
レミリア「ちょっと?大丈夫?血で全身が汚れちゃってるわよ。とりあえず風呂に入ってきなさい。なんなら私が洗ってあげましょうか?」
少しニヤニヤしながらレミリアはそういった。対して黒狼
黒狼「なぜ?」
自分のことをなぜわざわざ人にさせなければならないのか甚だ疑問だ。というように表情に出していた。レミリアはつまらなそうにしながら
レミリア「ああ、あなたにそんな考えがあると思った私が間違いだったわ。いいわ。さっさとお風呂に入ってらっしゃい。」
黒狼「フランに聞く。」
レミリア「はぁ!?やめなさい!そんなことされたらフランが拗ねて私に八つ当たりするかもしれないでしょ!!」
黒狼「知らん」
黒狼は清潔魔法・クリーンを唱えた。相変わらずどこの世界発祥の魔法なのかは知らないらしい。レミリアのところから去ったあたりで神がやってきた。
神「黒狼!」
黒狼「どうした。」
神「めっ!」
ぷんぷん。こんな感じで怒っている。黒狼はなにが?である。
神「黒狼霊夢攻撃したでしょ。倒れたまま放置しちゃったら風邪ひいちゃうでしょ!」
黒狼「ああ。脆弱な人間はその程度のことで風邪を引くのか。俺はそうならないから忘れていた。神。あと多分怒るとこそこじゃないぞ。攻撃したことに人間という生物は怒るもんだ」
クックック。と笑いながらはなし出す黒狼。ここにはつっこむやつがいないので一応常識は知らないが人間の行動自体は知っている黒狼につっこんでもらった。
神「風邪ひいたら、、、なんか、、、大変だってお母さん言ってたもん。」
詳細は知らないが風邪を引くのはよくないということを知っている神。
黒狼「ああ、ちなみに先にあいつらが攻撃してきたからな。うざい虫は追い払った方がいいんだよ。」
神「まあ黒狼は攻撃しないからね〜。」
獲物に対しては攻撃とは言わないし、殴られたら八つ裂きにするのはただの反撃であって攻撃ではない。まあ霊夢の傷的に獲物って感じだったし。
神「次から食べないときは治してお家に帰してあげてね。」
黒狼「めんどくせえ。まあ善処はしよう。」
やる気ないという返答に対し神はありがとうと言って黒狼に抱きついた。黒狼は煩わしそうな表情から邪魔だという表情に変化した。
黒狼「ひっつくな」
神「あ、ごめんね?」
神は霊夢のところに帰っていったようだった。
黒狼「、、、風呂入るか。」