ザ・トゥルース・オブ・カツ・アンド・ザ・ブレード・オブ・レボリューション その3
シンゾウはワサビへ向かう道中、街のあちこちでカツカレーに取り憑かれた人々を見かけた。彼らはフクジン・ピクルスに夢中で、目は焦点を失い、足取りもふらついている。その姿にシンゾウの胸には、かすかに哀れみの念が生じた。
やがて、ワサビの店が見えてきた。外観は一見してごく普通のカツカレー店に見えるが、その裏には闇が潜んでいる。シンゾウは静かに店の裏口に回り、無音でドアを開けた。彼のニンジャとしての訓練が、こうした潜入には最適だ。店内に足を踏み入れると、薄暗い廊下が奥へと続いていた。
「ここで、何を見つけることになるのか…」
彼が廊下を進むと、密閉された部屋の中から低い話し声が聞こえてきた。彼は扉の隙間から中を覗き込むと、そこには白衣を着た研究者たちが並び、巨大なタンクに向かって何かを注いでいる。
「フクジン・ピクルスの原料だ。この混合物が市民を支配する力を持つ…」
研究者たちは黙々と作業を続け、タンクから溢れる紫色の液体が床にこぼれ落ちた。それは、フクジン・ピクルスのもととなる禁断のエキス。その臭いが鼻を突き、シンゾウの怒りが再び沸き起こった。
「このままにはしておけない。」
彼は部屋に飛び込み、研究者たちが振り返る間もなくヒサツ・ワザ「ボサツ・ケン」を解き放った。静かで鋭い一撃が空気を切り裂き、研究者たちは次々と地に倒れた。その背後には、シンゾウの内なるチャドーが燃え上がるかのようなオーラが漂っていた。
「フクジン・ピクルスに頼ることなく、自由になるのだ。この街の人々は、自分の意志で生きるべきだ。」
シンゾウは一つのタンクに手をかけ、その底を貫通させた。紫色の液体が勢いよく噴き出し、部屋中に広がった。その危険なエキスに触れることなく、彼は素早く後ろに飛び退き、廊下に駆け出した。背後では、フクジン・ピクルスの原料が流れ出し、ワサビの暗い秘密が露見するまでの時間は刻一刻と迫っていた。
外に出ると、ロンドンの酸性雨がシンゾウのトレンチコートを濡らしていた。彼は立ち止まり、振り返ることなく街の闇に溶け込んでいった。彼の記憶は完全には戻っていないが、目の前の使命だけは明確だった。この腐敗しきった街を救い、人々に再び希望を取り戻させること。そのために、シンゾウはさらに深くロンドンの闇に潜り込んでいく。
やがて、ロンドンの街にはシンゾウというニンジャの伝説がささやかれるようになった。彼は静かに、しかし確実にカツカレーとフクジン・ピクルスの支配から市民を解放していく。ニンジャの技とともに、シンゾウの存在はこの街の希望となりつつあった。
ロンドンの酸性雨の中、シンゾウの影はますます濃くなり、闇を切り裂く風となって、街の未来を変えていくのだった。
◆新たな希望…