ザ・トゥルース・オブ・カツ・アンド・ザ・ブレード・オブ・レボリューション その1
重金属の酸性雨が絶え間なく降り注ぐロンドン、空は鉛色で、石畳の街路が腐食の痕跡を浮かび上がらせている。シンゾウはその酸性雨を防ぐため、傷んだトレンチコートをまとい、街を彷徨うように歩いていた。彼の目にはかつて見たことのない景色が広がり、あらゆるものが異様に感じられた。自分の名前はシンゾウ、それだけは覚えていたが、それ以外の記憶は霧の中に埋もれていた。
シンゾウが歩く先には、地面に投げ捨てられたカツカレーの容器がいくつも散乱している。中には、上流階級が食べるチキンカツの破片が残っているものもあった。その一つを拾い上げると、彼の手が無意識に拳を握りしめ、内から湧き出る熱がチャドーの力として彼を包んだ。
「この場所は…どうしてこんなにも…腐っているのか?」彼は小さくつぶやく。
シンゾウはワガママという名のチェーン店の前に立ち、ふと目を向けた。そこで提供されている庶民向けのカツカレーは、わずか数ポンド。しかし、そのカツカレーには「カツ」が入っていなかった。薄いルーがかかったご飯の上に、赤々としたフクジン・ピクルスが山のように盛り付けられている。シンゾウは無表情にピクルスをつまみ上げ、口に運ぶ。ほのかな酩酊感が体に広がる。
「これか…」とシンゾウは思案する。このピクルスには中毒性のある薬物が含まれており、下層の市民たちはそれに支配され、さらなる貧困の沼に沈んでいる。一方で、上流階級ではオーガニック・チキンカツ入りの天然カツカレーがもてはやされ、彼らの舌と胃袋は満たされていた。貧者には「カツ」の響きすらも遠く手が届かないものだ。シンゾウの胸に怒りが湧き上がる。
その時、彼の背後に影が動いた。ワガママの前でフクジン・ピクルスを食べ続けているカツカレー中毒者たちが、シンゾウの異質な存在に気づいたのだ。彼らの目は濁り、理性を失ったように彼に向かって襲いかかってきた。
シンゾウはチャドーの呼吸を整え、カラテの構えを取る。「ヒサツ・ワザ…ボサツ・ケン!」
彼の拳が空を切り裂き、見えない力が中毒者たちを一瞬で沈黙させる。彼の腕が震え、体中に流れるオーラが燃え盛るようだった。だが、その戦いの後、シンゾウの中にさらに深い疑問が生じる。
「俺は…誰なんだ?」
それは、酸性雨の中で静かに始まる復讐の物語だった。
シンゾウはワガママの裏路地に立ち、店のドアに耳を傾けていた。中では、上流階級の男たちが密かにカツカレーを味わいながら、何やら取引をしているらしい。彼らの話し声が聞こえる。
「最近、下層階級の連中もフクジン・ピクルスに手を出し始めたらしいぞ。これでは薬物の供給が追いつかなくなるかもしれん。」
「心配するな。ワサビと契約を交わしておいた。奴らが最新のバイオ・カツを量産してくれる。中毒者が増えれば、カツの質などどうでもよくなる。」
シンゾウの血が煮えたぎる。この腐敗しきった街で、食事ですら階級によって分けられ、人々の命が支配されている。彼の拳が震え、体中にチャドーのエネルギーが流れ込む。カラテの奥義を解き放つときが来た。
彼はドアを蹴破り、室内に突入する。その目にはカツカレーの甘い香りが立ち込め、支配者たちの驚愕した顔が映った。彼らは一瞬、シンゾウを見て言葉を失うが、すぐに護衛が彼に向かって突進してきた。
シンゾウはカラテの構えを取る。護衛が攻撃を仕掛けてくるたびに、彼は素早くそれをかわし、ヒサツ・ワザ「タツマキケン」で相手を吹き飛ばす。シンゾウの拳が空を切り裂き、巻き起こる風が敵を薙ぎ倒す。次々と倒れていく護衛たちの姿に、支配者たちの顔は青ざめた。
「お前らのような奴が、この街を腐らせているんだ!」シンゾウは叫ぶ。彼の目には、かつての記憶が少しずつ蘇り始めていた。ニンジャとしての使命、カツカレーの影に隠された闇…すべてが彼の中で繋がり、怒りが燃え盛る。
支配者の一人が怯えながら後ずさりし、震える手で彼に言った。「お前には何も分かっていない…この街は、カツカレーがあるからこそ成り立っているんだ!」
シンゾウは冷たい目で支配者を見下ろし、「この街は、カツカレーが支配しているのではなく、お前たちの腐った欲望が支配しているんだ。」
そして、彼は再びカラテの技を解き放ち、支配者たちを打ち倒した。室内は静寂に包まれ、ただ彼の深い息遣いだけが響いた。
外では、重金属酸性雨が音を立てて降り続けていた。シンゾウは静かに外に出ると、トレンチコートを直し、再び街へと歩き出した。彼の心には、かつて失った記憶が少しずつ蘇り、やがてこの腐敗した都市を浄化する使命感が芽生えていた。
彼の次の目標はワサビ。そこにはさらなる闇が待ち構えているだろう。しかし、シンゾウは恐れなかった。彼にはカラテとヒサツ・ワザがあり、チャドーの力が流れている。たとえ、この街全体を敵に回しても、自分の手でこのカツカレー都市を解放する日が来ることを信じていた。
ロンドンの酸性雨の中、シンゾウの影は再び消えていった。しかし彼の復讐の物語は、まだ始まったばかりである。
◆このニンジャの目的は…?