暗黒短編集
【魔法はパワハラの内に入りますか?入りませんよね?!よし!!喰らえ『ザキ』!!】
「どしたんスか先輩、うわ」
会議室を開けると先輩の傍らに課長が横たわっていた
「……やっちゃいましたね」
「……なにが?」
「先輩、前から思ってたんスけど」
「はい?」
「魔法、使えますよね?」
「……えー?」
明後日の方を見ながらなんともいえない表情をしている
しかし私は知っている 先輩は課長に恨みがあり 密かに魔法を使って課長を苦しめていたのではないかと
「だって廊下歩いてたら思いっ切り『ザキ』!!!!って聞こえてきて」
「山崎……」
「え?」
「山崎さん……」
横たわっている課長を指さしながら先輩がギリ聞き取れる声量で呟く
「まぁその毛量は山崎課長だけどさ」
「うん…」
先輩は前々から課長にパワハラを受けていた
しかしまさかこんな形で真実が明らかになるとは思わなかった、でもこれで合点がいく
先輩は魔法を使って毛を刈ってたんだ、だから課長はあんなにもみるみる毛が薄くなって……
「ケガール……」
「……?」
「毛を刈り取る魔法、今名前を付けた」
「なん……、え?なにが……?」
「でも、でも先輩 何も殺すことはないじゃないですか どうして今になって」
「コロシテナイヨ……」
「でも、さっき『ザキ』って」
「山崎さん……」
「まぁ、そのイボ痔は山崎課長だけどさ」
「うん……うん?」
先輩は前々から課長にパワハラを受けていた
しかしまさかこんな形で真実が明らかになるとは思わなかった、でもこれで合点がいく
先輩は魔法を使ってイボを育てていたんだ、だから課長のイボはみるみる肛門から露出して……
「イボラ……」
「えっ……」
「イボ痔を患わせる魔法、今名前を付けた」
「イボ痔だったんだ……」
「でも、どうしてですか先輩 課長にだって家族は居るんすよ……!」
「コロシテナイデス……」
「でも、さっき『ザキ』って」
「山崎……」
「まぁその乳毛の長さは山崎課長だけどさ」
「うん……?え?……」
先輩は前々から課長にパワハラを受けていた
しかしまさかこんな形で真実が明らかになるとは思わなかった、でもこれで合点がいく
先輩は魔法を使って課長の乳毛を育て……いや、違う これは高度な転移魔法だ
頭の毛を徐々に乳首に移動させて……!!
「チチーゲ……トベチチーゲ……!」
「楽しそうだね」
「フッww でも、でも先輩……ンフw なにも、なにも殺すことは」
「まだ続けるの」
「でも、さっき『ザキ』って!!」
「殺してな……早いって!」
「まぁその前立腺肥大は山崎課長だけどさ」
「何が見えてるの」
先輩は前々から課長にパワハラを受けていた
しかしまさかこんな形で真実が明らかになるとは思わなかった、でもこれで合点がいく
前立腺肥大ってえっちだよねって思って調べたら割と深刻めの病気みたいで、ちょっと引いた……
「……」
「なんか言えよ!!」
「……何で殺したんすか」
「だから殺してないって!!そもそも、魔法って何なの!!言い掛かりも甚だしいよ!」
「先輩が、さっきから後ろに隠している、それ、何なんすか」
「う……」
「きっと魔法のステッキなんすよね!!マジカルミラクル的な!!
昔から憧れてたんす!!先輩!!何か、何か私に魔法を見せて下さい!!」
熱烈な私に迫られ、渋々見せてくれた"それ"は何のあしらいも無い、無機質な、無造作な"ただの棒"だった
そう、強いて言うならそれは―――
「そんなに言うなら見せてやるよ」
強いて言うなら、"ひのきのぼう"……とでもいうのか、それも、血のべったりと付いた―――
「喰らえ!!『ザキ』!!!!!!」