ゆでたまごを揚げる。それはとても危険な禁断の味。(※絶対にマネしないでください)
第5回「下野紘・巽悠衣子の小説家になろうラジオ」大賞応募作、キーワードは「たまご」です。
かつて新宿の超有名カレー店では、ランチにカレーバイキングをやっていた。その店でかつてもかつて、20年以上前に私が衝撃を受けたカレーが提供されていたのを覚えている。
それはたまごのカレー。
炒り卵やオムレツではない。なんと茹で卵がまるまるカレーの中でどんぶらこと浮かんでいるのである。
そしてそのカレーがとても美味しかった。あんまりにも美味しかったので、4~5種類のカレーがあったのにビーフカレーと卵のカレーしか食べなかったくらいだ。
ところがある時から、卵のカレーは姿を消してしまった。店員さんに訊いたら今後出す予定は無いと言う。私はショックで、そこにはもう行かなくなった。
でも食べたい。どうしても食べたい。忘れられない味だ。私は自宅でカレーを作り、そこに茹で卵を投入して煮込んでみた。
でもなんか違う。
記憶の中のカレーの卵は温玉でも、半熟でもなかった。しっかり目に火が通っていた筈だ。けれど今食べている卵にはコクが無くてボソボソしていて何かが違うのだ。そういえば卵の表面が妙にあちこち薄くへこんだり、小さな穴が開いていた。そして小さな気泡もついていたかもしれない。
「あ」
もしかしてと思い、茹で卵の殻をむき、そのまま軽く素揚げにしてみた。そして煮込んだカレーに最後に投入。
「これだ!」
見事、求めていたカレーは完成したのであった。
さて、ここで皆様にご注意申し上げたい。この時私は知らなかったのだが、茹で卵は揚げると爆発する。
もう一度言おう。絶対に真似するな。 茹 で 卵 は 揚 げ る と 爆 発 す る !!
これは卵を電子レンジにかけると爆発するのと理屈は一緒で、固まった黄身の中の水蒸気が上手く外に出ない為だそう。だが、電子レンジと違い揚げ油なんて爆発したら間違いなく火事や火傷の大惨事が見込まれる!
私は油をケチり、表面をサラっと加熱する程度の短時間の揚げ焼きだったのでたまたま爆発せず、難を逃れただけだ。運が良かったのだ。後からその事実を知って私は血の気が引いた。
いいか! 絶対に真似するなよ!
と、ここまで言ったが「美味しそうな話をしておいてそれは酷い」と思う方もいらっしゃるかもしれない。なので解決方法もここに記しておく。
実に簡単だ。目玉焼きをいつもより小さじ1程、油を多くして焼く。水も入れて蓋をして、できれば裏返し両面焼く。それをカレーに放り込み、少し煮れば同じ味になる。
そういえば目玉焼きを英語で言うとフライドエッグだった。
お読み頂き、ありがとうございました!
↓のランキングタグスペース(広告の更に下)に他の作品へのリンクバナーを置いています。もしよろしければそちらもよろしくお願い致します。