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虐殺

〈三人称視点〉


 魔族。


 それは、人と同じ形をし、その頭に角を持ち、紫がかった白い肌が特徴的な種族だ。


 その外見のせいで人間からは差別されていた。


 しかし、数こそ少なかったものの、人間よりも寿命が長く、魔力も身体能力も人間より優れていた。


 故に、人間が魔族に直接何かすることなどできなかった。


 初代魔王とその配下の四天王が人間の勇者に敗北するまでは……。


 人間の勇者が魔王とその配下の四天王に勝利したという情報は、人間と魔族にありえないほど早く伝わった。


 それにより、魔族は人間を恐れるようになり、人間は、魔族を奴隷にし始めた。


 しかし、その奴隷狩りが始まってすぐに次の魔王が台頭し、その魔王が、1人で人間の兵たちを退けた。


 なぜその新たな魔王が兵たちを退けられたのか……理由は至ってシンプルなものだ。


 勇者含む人間の強者全てが初代魔王に挑み、そして、魔王討伐の代償としてその全てが死んだから。


 故に、そんな強者たちのいない人間は、魔族にとっては恐れる必要もないものだった。


 しかし、その時にはすでに多くの魔族が奴隷にされ、主の命令に強制力を持たせる首輪をはめられていた。


 新たな魔王はそれに憤慨した。


 しかし、魔族で一気に攻めれば、また人間は勇者を召喚するかもしれない。


 そうなれば、初代魔王より弱い自分は相打ちにすることすらできずに死に、魔族はさらに迫害されるのではないかと、新たな魔王は考えた。


 故に、新たな魔王は秘密裏に、配下の暗部を使い、少しずつ奴隷にされた魔族の救出を始めた。


 バレぬように、救出した魔族を人間側で死亡扱いにしながら魔族たちを救出していった。


 しかし、すでに死亡した者や、心が壊れた者もいた。


 奴隷狩りの被害者たちを見て、新たな魔王の心はひどく弱っていた。


 そんな彼女を支えたのは、『吸血姫』と呼ばれる初代魔王の友人だった。


 『吸血姫』に支えられながら、新たな魔王は奴隷の救出を続けた。


 そして、ついにあと少しで奴隷を全て救出できると……そう思っていた矢先に人間が勇者を召喚した。


 また、奴隷狩りが始まる。


 そう確信した新たな魔王は、すぐに人間の領地に近い魔族領の警備を強化した。


 しかし、勇者であればこの警備とそして今は待機している四天王配下の軍では足りず、被害が大きくなる可能性があった。


 しかし、新たな魔王には希望があった。


 それは、勇者を獲物と言った『不明(アンノウン)』だ。


 彼女の強さは、一度見た。


 あれほどの強さであれば、勇者すら倒せると、そう確信していた。


 故に、人間が魔族領に攻め入ってすぐに新たな魔王は勇者への警戒を捨て、前線以外の魔族領にある町や村の警備のための戦力以外をほぼ全て前線へ送った。


 魔族の兵の数はおよそ1万。そこに吸血鬼およそ3000が加わる。


 対して、人間は500万を超える。


 数は人間側が圧倒的に多い。


 しかし、それでも種族による力の差は大きく、戦場で起こったのは、一方的な虐殺だった。


 

 


 

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