開戦
投稿再開!
〈三人称視点〉
『勇者召喚』が行われてから5年と少しが経ったある日、魔王国カースの王城には人間たちの侵攻が知らされていた。
「宣戦布告もなしに我が国に攻め入ったというのか!?」
この世界では、戦争を仕掛ける場合、必ず宣戦布告がされる。
それをせずに攻め入ってきた人間たちに驚き、魔王エンカは大声を上げた。
「ええ、しかし、『勇者召喚』が行われてから、人間領から近い魔族領には兵たちを常駐させていたため、被害は軽微となっております」
側近が現状を説明した。
「軽微……か、少なからず被害は出ているということだな?」
「その通りでございます」
「即刻、四天王を軍を率いらせ、前線へ向かわせろ!」
「しかし、それでは魔王様の警護が……」
「構わぬ!余は自分で自分を守れる!それよりも戦う術のない民たちを優先させよ!」
「はっ!了解いたしました!」
側近はそう言うと、魔王配下最高幹部である四天王へ連絡を始めた。
それから少し経ち、戦場の前線に四天王が到着した。
さらにそれから少し経ち、同盟を結んでいる『吸血姫』アレリルリの配下たちが、前線に到着した。
こうして、後に『愚王大戦』と呼ばれることになる魔族と人間の戦争が始まった。