幕間 狂嗤
〈三人称視点〉
『勇者召喚』が行われてから5年の月日が経った。
ルーティ神聖王国の王城の一室では、再び『人類会議』が行われていた。
「勇者たちの育成も順調にいき、そろそろ魔族の奴隷化を進められそうです」
ルーティ神聖王国法王のその言葉に、各国の王たちは嬉しそうな顔になった。
最初こそ、魔族の奴隷化が上手くいくのか懐疑的だった彼らだが、これまでに数回、勇者たちの闘いを見たこともあり、上手くいくことを確信していた。
上手くいくと分かってしまえば、王たちは奴隷化のための兵を出すことを渋りはしない。
元々、奴隷は欲しいというのが王たちの本音だった。
「では、我らも兵を動かす準備を始めるとしましょうか?」
「ええ。それがよろしいでしょう。このままいけば、数ヶ月以内に奴隷化を始められそうです」
「それにしても、たった5年でSランクの魔物を難なく討伐できるようになるとは、さすが勇者と言ったところでしょうか?」
「確かに、これほど早く成長するとは思いませんでしたけどね」
「確かに」
王たちは笑い合った。
「それでは、本日はこれで解散とし、出兵の準備を始めましょうか?」
「そうするとしましょうか」
王たちが退室した後、法王は凶悪な笑みを浮かべ……、
「アハハ!アハハハハハハ!アハハハハハハハハハハハハハハハハハ!なんと扱いやすいことか!無能ばかりで助かりますよ!これで準備は整った!さあ、戦争を始めましょう!そして、魔族も!人間も!全て等しく戦場で恐怖!憎悪!絶望といった負の感情を持ったまま死に、神への贄となるのです!神の復活は近い!ああ、ようやくです我らが神よ!またお会いできる日を心待ちにして数万年!ようやく再びそのご尊顔を拝める!アハハハハハハ!」
法王のその狂った嗤いは部屋にこだまし続けた。
しかし、その笑いは結界に阻まれ、誰の耳にも入ることはなかった。
5章完結!。明日は登場人物紹介を投稿し、その後は少し投稿を休みます。6章からは人間と魔族の戦争が始まります。