本選 準決勝 第1試合
〈三人称視点〉
本選第3試合と第4試合の翌日、準決勝ということもあり、観客席には今まで以上に人がいた。
『この大会もついに3日目!そして準決勝となりました!それでは、早速始めましょう!まず登場するのはこの方!予選ではその圧倒的な炎の魔法で圧勝し、そして本選第1試合では優れた感知能力を披露し『雷光』を降した!『豪炎』アルカフォードル!』
2つの門が開き、その一つからアルカフォードルが現れた。
『続いて登場するのはこの方!予選では、呪いを使い圧勝し、そして本選でも巧みに呪いを使い『氷獄』を降した!『呪毒』カロースド!』
「厄介なやつが相手になっちまったな」
「キヒヒ、それはお互い様でしょう?」
『この両者、どう見ますか?リーシャ様』
『そうねん。まず、アルちゃんは第1試合で分かっている通り、感知能力に長けている。だからカロちゃんがどれだけ呪いを隠して使ってもバレるわ。でも、隠しはせずともカロちゃんの呪いは強いわン。もちろん、アルちゃんの魔法も強力よ。2人とも長けた能力が違うけど、実力は互角といったところかしら』
『なるほど、それでは、本選準決勝、第1試合、開始ーーー!!!』
「『多重極炎弾』」
開始の合図とともにアルカフォードルが自身の周りに大量の炎弾を出現させ、それをカロースドに向かって放った。
「おっと、これはすごいですねぇ。しかし、ワタシには通用しませんよ。『呪玉』」
コロースドはそう言うと、大量の呪いの玉を生み出し、それで炎弾を迎撃した。
炎弾と呪玉のぶつかりにより爆風が巻き起こった。
『これは凄まじい!これが実力が拮抗しているSランクの闘い!』
『あら、それを言うならアルちゃんとラッシュちゃんも実力が拮抗していたわよン』
『確かに、あれはアルカフォードル選手の戦い方が上手くはまった結果でしたね!』
「これで炎弾は全て迎撃しました。次はどんな手を使ってきますか?」
「こんな手だ」
その声は、カロースドの足元から聞こえた。
アルカフォードルは体勢を低くしながら、カロースドの足元まで行っていた。
「これは驚きです」
「オラァ!」
アルカフォードルの鋭いアッパーがカロースドの顎に衝撃を与えた。
しかし、アルカフォードルは殴った拳を見つめ、顔を険しくした。
「やっぱり、仕込んでたな」
「痛いですね。しかし、これであなたは呪いに侵された」
「そうだな。この呪いは強力そうだ。しかし、これが全身に回る前にお前を倒せばいいだけだ!」
「キヒヒ、魔法で遠くから攻撃しますか?それでも構いませんよ?迎撃するだけですがね」
「いいや、このまま殴る!」
そう言ってアルカフォードルはカロースドを全力で殴り続けた。
最後に倒れたのは、カロースドだった。
その時点ですでにアルカフォードルの全身には呪いがほとんど回っており、間一髪の勝利と言えた。
『どちらが先に倒れるのか、この試合、勝ったのは『豪炎』アルカフォードル!!!』