本選 第4試合
〈三人称視点〉
グラデが破壊した闘技場を魔法使いたちが修復した後……
『さて、修復も終わったようなので、第4試合を始めましょう!まず登場するのはこの方!異常な沸点の低さで恐れられるSランクの狂犬!荒れ狂いながら闘うその姿はまさに鬼神の如し!彼女を怒らせない者はいない!『怒天』ダリアリア!』
二つの門が開き、一つの門から筋骨隆々の女性が現れた。
「誰が狂犬だぁ!?!?!?ぶっ殺すぞ司会者ーーー!!!」
『あらダメよン。事実でしょう』
「チッ、黙れゴンザエモン!」
『だから、リーシャだって言ってるでしょう』
「知るか!」
『解説と選手で争わないでください!……続いて登場するのはこの方!Bランクでありながら、Aランク、そしてSランクを降して本選に進んだ今大会のイレギュラー!予選では余力を残していた!本選で全力が見れるのか!Bランク冒険者シャドウ!』
もう一つの門からフード付きのローブを身に纏った不気味な男が現れた。
『さて、この両者、どう見ますか?リーシャ様』
『そうねン。ダリちゃんは現Sランク冒険者の中では多分最も攻撃力が高いわ。でも、シャドウちゃんは底が全く見えない。どんな能力を使うかも、予選ではわからなかったし、この試合はどう転ぶかわからないわ。ただ、これは勘だけど、シャドウちゃんの方が強いわ』
『そうなのですか?それはどうなるか楽しみですね!それでは、第4試合、開始ーーー!!!』
「アタシがこいつよりも弱いだぁ!?上等だよ!捻り潰してやらぁ!!!」
ダリアリアはそう言うと、強く踏み込み、一気にシャドウの元まで行き、シャドウに拳を叩き込んだ。
しかし、その拳はシャドウをすり抜けた。予想外のことに、ダリアリアはバランスを崩し、前に倒れそうになった。
「なん……だと?」
しかし、倒れる前にシャドウの膝蹴りを顔面に受け、前ではなく、後ろに倒れることになった。
そして、そのまま気絶し、ダリアリアは敗北した。
『な、なんということでしょうか!一瞬、一瞬でシャドウ選手が勝ってしまった!Sランクが何もできずに負けるなど、誰が予想できたでしょうか!第4試合、勝者は、Bランク冒険者シャドウ!!!』