本選 第1試合
〈三人称視点〉
『それでは、早速第1試合を始めましょうー!第1試合出場者の入場です!!!』
その声と共に、闘技場にある二つの門が開いた。
『まず登場するのはこの男!雷鳴と共に現れ、敵を斬り、その甘いマスクで女性を酔わす女の敵!『雷光』ラッシュルラーク!』
「女の敵って……手厳しいな」
頭をかきながら『雷光』ラッシュルラークが登場した。
観客席からは女性たちが黄色い歓声を上げていた。
『対するはこの男!その筋肉とその圧倒的な魔法で敵を薙ぎ倒す!『雷光』とは正反対に男性からの人気がすごい!さあ!登場していただきましょう!『豪炎』アルカフォードル!』
「男から人気って……嬉しくねえな」
嫌そうな顔をしながら、『豪炎』アルカフォードルが現れた。
『雷光』とは違い、今度は冒険者であろう屈強な男たちから歓声が上がった。
『ゴ……リーシャ様!この両者、どう見ますか?』
『どっちも好みよん』
『いえ……そうではなく……』
『冗談よン。そうねン。実力で言えば、スピードではラッシュちゃん、パワーではアルちゃんに分があるわねン。だから、この闘いの行方はどんな感じで闘いが進むか次第ねン』
『なるほど、ということは互角ということでしょうか?』
『そうねン』
『それは楽しみですね!それでは、試合……開始ーーー!!!』
その合図と共に、2人はほぼ同時に行動を始めた。
「『雷纏』発動」
その言葉と同時にラッシュルラークの体から雷が迸った。
「『炎帝の拳』」
アルカフォードルは、拳に超高熱の炎を纏った。
『おっと、アルカフォードル選手拳に炎を纏った!予選のように魔法を飛ばさないのでしょうか?』
『単純に当たらないからねン』
『当たらない?』
『ええ、『雷纏』を発動させたラッシュちゃんは文字通り光速で動けるの。だから魔法なんて当たらないのよン』
『なるほど……おっとアルカフォードル選手目を閉じた!?どういうことでしょうか?』
目を閉じたアルカフォードルは、突然、何もないはずの場所を殴った。
次の瞬間、そこにはラッシュルラークの顔があり、ラッシュルラークは、もろに攻撃を喰らうことになった。
『アルちゃんはね、大雑把な性格に見られることが多いけど、その実、探知能力に長けた結構慎重な性格の子なのよン』
『なるほど』
「痛てて、そういえばそうだったね忘れてたよ」
「降参するか?」
「ハハハ、まさか!そんなことするわけないだろ?」
次の瞬間、ラッシュルラークの姿がかき消えた。
そして、アルカフォードルの腹が凹んだ。
「グハッ!」
「これで倒れないとか、耐久力の化け物だね」
そんな声がアルカフォードルに聞こえた。
しかし、姿を捉えることはできない。
「全く、厄介極まりないやつだ」
そう言いながら、アルカフォードルはまた目を閉じた。
しかし、今回は攻撃をすることなく、ラッシュルラークの攻撃を、何度も何度も受け続けた。
そして次の瞬間、アルカフォードルが拳を突き出し、その先にはラッシュルラークがいた。
「グアッ」
「やっと捉えたぜ」
「まぐれでよく言うよ」
「そう思うならそう思えばいいさ」
「ハハッ、全く、冗談きついよ!」
またラッシュルラークの姿が消えた。
しかし、今度はラッシュルラークに攻撃を与えることができずに、近づいた瞬間攻撃を浴びることになった。
『おっとこれは、ラッシュルラーク選手が優勢にと思ったら、いきなりアルカフォードル選手が優勢になってきた!?』
『ラッシュちゃん、アルちゃんに完全に捉えられちゃったわねン』
そしてそれがしばらく続き、ラッシュルラークが気絶し、アルカフォードルが勝った。
「お前も十分耐久力の化け物だったよ」
『第1試合、勝者は、『豪炎』アルカフォードル!!!』