大会前の冒険者
冒険者の町シンの入り口には、結構な数の商人たちの馬車があり、町に入るまで結構待つことになった。
町の中は、お祭りムードで、町のあらゆるところに飾り付けがされ、また、冒険者の大会のチラシが大量に貼ってあった。
まだ大会までは半月以上あるというのに、こんな賑わっていると思っておらず、少しびっくりした。
「どうする?またいつものように、最初に冒険者ギルドに行くか?」
「そうだね。こんなに賑わってるんだし、泊まれる宿を先に探しといたほうがいいね。冒険者ギルドに行こうか?」
「うむ」
ギルドに着くと、冒険者たちが騒いでいて、町中以上にうるさかった。
騒いでいる冒険者たちを無視して受付まで行き、冒険者カードを見せた。
「Bランク冒険者のククさんとルリさんですね?ご用件をお伺いします」
「宿の紹介をお願いします」
「宿の紹介ですね?でしたら、『白兎亭』などいかがでしょう?部屋数も多く、まだ空きがあるかと思います。また、料理もおいしく、清潔感もある宿です」
「そこでいい?瑠璃」
「うむ。いいと思うぞ」
「じゃあ、そこにします。ところで、あそこの冒険者たちは何を騒いでいるんですか?」
「大会が待ちきれず、早く暴れたい欲を抑えるために、あそこで腕相撲大会のようなものをしています。そんなに暴れたいなら魔物討伐にでも行ったらいいと思うのですが、魔物討伐に行って、何か起き、大会に出られなくなったら嫌みたいで、あそこで腕相撲をしています」
「なるほど」
大会が近づくと冒険者は血気盛んになるのか。
まあいいや。
「すっげーな!お前!もう15人抜きだ!」
どうやら、腕相撲で15人抜きをした猛者がいるようだ。
腕相撲だけでどうやったらあそこまで盛り上がれるのか分からないけど、楽しそうだ。
参加するか迷うけど、今は宿を取るほうが先だ。
「じゃ、行こうか!」
「うむ」
オレたちはさっさと宿に向かうことにした。