意外と良いやつ?
オレだけボウズという結果に終わった釣りの後、瑠璃が釣った魚をアルファルドさんに預け、オレたちは市場に来ていた。
この市場は日本の港町のものと同じ感じだ。
後、『海竜亭』の料理が洋食だったからこの町は洋食しかないのかと思ったけど、刺身とか魚介を使った味噌汁とか、和食もあった。
ひとまず、一通り回ってみて、どの店のを食べるか考えることにした。
「いやー、おいしそうなのがいっぱいだね」
「そうであるな!どれを食べるか迷うな!」
「だね」
そんな会話をしながら歩いていると、
「おい!俺の服が汚れちまったじゃないか!どうしてくれるんだ!ああ!?」
「ヒイッ」
いきなりそんな声が聞こえてきた。
声がした場所を見てみると、女の子が大男に絡まれていた。
見た感じだと、女の子が大男にぶつかって、女の子が手に持っていた料理が大男の服についたらしい。
大男がわざとぶつかりに行った可能性もあるけど。
いや、それよりも助けた方がいいか。
そう思って、助けに向かおうとすると、
「やめないか☆」
大男を止めようとする大きな声が聞こえた。
そちらをみると、冒険者ギルドで会ったナルシスト君がいた。
「なんだぁ?テメェ!?」
大男がナルシスト君にくってかかった。
こいつは、この町ではSランクとして有名らしいからこの大男は最近この町に来たやつか?
「やめろと言ってるんだ☆」
「ヒーロー気取りか!?お坊ちゃんよー!」
大男がナルシスト君に殴りかかると、ナルシスト君はなんでもないようにその拳を受け止め、そのまま制圧した。
「クソ!なんなんだよテメェ!」
大男が喚き散らしていたが、そのままナルシスト君に連れられて行った。
あいつ、意外と良いやつなのか?
まあ、どうでも良いか?
それに、あの喋り方は、ちょっとむかつく。
良いやつだとしても、仲良くはなれそうにない。
オレたちは、また市場を見て回り始めた。