目標
『我が縄張りに許可なく立ち入るなど、貴様、死にたいようだな』
そいつは、唐突に現れた。
上空を見ると、巨大な漆黒の竜がオレを見下ろしていた。
本能が、けたたましい警鐘を鳴らす。
無理だ。
こいつは、まだ無理だと。
聞いてないぞジジイ!
いきなりドラゴンの縄張りに転生するなんて。
全身から嫌な汗が出る。
どうにかして逃げないと。
『フフ、我から逃げようとしているのか?無駄なことを。』
気づかれた?
心を読まれたのか?
それとも、別の方法?
いや、そんなことはどうでもいい。
何か、ここから生き残る方法はないのか?
『我が縄張りに入った愚かな貴様には、死を与えよう。』
ドラゴンの口に魔力が集まり出した。
『死ね』
その言葉と同時に口に集まった魔力が一気に解放された。
ドゴオオオオーーーン!!!
『つまらぬ。もう少し、張り合いがあると思ったのだがな。』
そう言ってドラゴンは立ち去っていった。
やっべー。
死ぬかと思った。
咄嗟に『魔力喰い』を発動させて、なんとか生き残れたけど、もうボロボロだ。
全身血だらけで、服もボロボロだけど、もう傷は治癒を始めてるし、服も再生してる。
この服なかったら、魔力喰いあっても死んでたな。
つーか、あのジジイ最悪だろ。
あんなやばいやつの縄張りに転生させるなんて。
いつか絶対ぶっ飛ばしてやる。
決めた!
まずはあのドラゴンを力でねじ伏せる!
目標はあった方がいいからね。