試験開始
オレと瑠璃は、冒険者ギルドの地下にある修練場に来ていた。
試験はここで行うようだ。
「さて、じゃあ今から俺と一対一で戦ってもらう。順番はそっちで決めてくれていい」
そう、ヘーロさんが言ってきたので、
「どうする、瑠璃?どっちから行く?」
「我はどちらでも構わない」
「そっか、じゃあ、オレから行こうかな」
「うむ、頑張れよ」
「一つ言っておくけど、本気は出さないぞ?オレたちの目的はあくまで冒険者になることであって、目立つことでも、相手を殺すことでもないからな?」
「分かっておる」
「決まったか?」
「はい。オレから行きます」
「よし、それでは、試験を始めよう」
オレとヘーロさんは向かい合って木製の武器を構えた。
オレは刀で、ヘーロさんは大剣だ。
「それでは、試験、開始!」
受付のお姉さんの合図で、試験が始まると、いきなり結構な速さで、ヘーロさんが斬りかかってきた。
「っと!」
これ、普通の人だったらこれだけで多分終わるぞ?
まあ、いいや、このまま少し攻撃を受け流しながら負けよう。
Aランクに勝ったとなったら騒ぎどこじゃないし。
この試験は負けてもそこそこのランクにはなれそうだし。
そんなことを考えながら、オレはヘーロさんの大剣を受け流し続けた。