プロローグその5 創造神サイド
「はぁ」
儂は、もう何度目かわからぬため息をついた。
暇じゃ。
昔は、世界を作ったり、魔法や神術を極めたりしておった。
故に、退屈な時間なぞ無かった。
じゃが、今は、世界の管理など全て他の神が行なっておる。
儂がすべきことはない。
友でもおったらよかったのじゃが、あいにく儂は圧倒的に格上すぎて尊敬されこそすれ、対等にはなれぬ。
いや、1000年ほど前に一度、儂に喧嘩を売ってきた奴がいた。あやつは、他の神と比べても強く、儂に迫るほどじゃった。
あの喧嘩は楽しかった。
儂も、自身が存外戦闘狂だという一面も知れた。
結局最後は儂が勝ったが、あれほど充実した時を過ごせたのは、あれが最後だ。
友になれればよかったのじゃが、あやつは、儂との戦いで力を使い過ぎ、死んでしまった。
…………………………
…‥……………
………
そんな退屈な日々を過ごしていたある日。
儂の空間に何者かが侵入してきおった。
それは、強大な魂だった。
さらに、あやつの気配を少し感じた。
この魂は、あやつのものではないが、それに連なるものだ。
この魂ならば、あやつと同じく、儂と同等の力を手に入れられるのではないかと思った。
故に儂は、この魂を異世界に転生させることにした。
異世界では、ステータスやレベルがある。
だから、この魂の強化には、もってこいだと思った。
転生理由は正当なものにしたがな。
少し渋っておったが、最後は、快く、転生を承諾してくれた。
ふふ、楽しみじゃ。
「異世界を楽しめ、そして強くなれ、儂はお主がここまで登ってくるのを楽しみにしておるぞ。大妖、九尾の系譜に連なるものよ。」