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プロローグその4
足が地面にふれた。
目を開けてみると、そこは森だった。
転生が成功したようだ。
体が、前よりも動かしやすい。
軽い。
ここから、オレの新しい人生が始まる。
そう考えると、なんだか楽しくなってきた。
前の人生は最悪だった。
両親が亡くなってから、小学校、中学校、高校の全てで虐められた。
オレを引き取った親戚は、オレにほとんど関心を示さず、まるでオレはいないかのように扱った。
そのくせ、体裁が悪いからと、学校には行かせた。虐められていると知ってたのに。
でも、今はそいつらはいない。自由になった。
この人生、どうなるかわからないけど、楽しんで生きたい。
そんなふうに感慨深く思っていると、オレはある違和感に気づいた。
あるべきものがない。
そっと触れると、やっぱりない。
これ、あれだよな。
「神様性別間違ってるよーーーーー!」
この日、オレは転生と同時に男を辞めた。