幕間 災害会議
〈三人称視点〉
薄暗い部屋に8人の人影があった。
「今回の議題は、災竜と戦っていた何者かについてだよな。」
最初に口を開いたのは頭に2本の角を生やした大男、『鬼王』のゴウテだ。
「うむ。それ以外ないであろう?」
次に口を開いたのは紫髪が特徴の少女、『魔王』のエンカだ。
「ふん!そもそも、なぜ今なのだ?もうあの戦いから1ヶ月が経っているというのに。」
頭に龍の角を持つ青年、『竜王』のドラクルスが不満そうに言う。
「それは、全員の予定が開くのを待っていたからであろう?何を今更。」
白髪が目立つ老人、『賢王』のローンが小馬鹿にしたように言う。
「貴様!若造のくせに!!!」
「ホッホッホッ、見た目だけなら、この中で最も年上なんじゃがなぁ。」
「今は喧嘩している時ではないだろう?馬鹿ども。」
黒を基調としたローブを着た美女、『魔女』のリーリが今にも戦いだしそうな2人を止める。
「ワハハハハ!2人はいつも喧嘩しておるなぁ。」
獅子の耳と尾を持つ大男、『獣王』ガツクが笑う。
「だが、そもそもこいつは人間にあの戦いを教えたのであろう?中立のくせに。」
「ホッホッホッ、それはもし、あれが暴れた場合、人間は絶滅しそうだからじゃよ。一応、儂も人間じゃしな。少しくらい、思い入れがあるわ。」
「フッ、500年以上生きている貴様を人間と呼べるかは疑問じゃがな。」
赤いドレスを着た美女、『吸血姫』のアレリルリが笑いながら言う。
「そんなことより、早く会議を始めましょうよ。皆さん。」
落ち着いた様子で話す灰髪の青年は、『樹界』ファンタズムだ。
「そうだな。では始めよう『災害会議』を。」
「ふん!なぜ貴様らと我らが同列なのか、疑問だがな!!!人間の感覚はわからんぞ!」
「なら来なければいいだろう?これの参加は別に強制ではないぞ?『竜王』よ。」
「チッ、今回は『災竜』のことも話すのだろう?ならば来るさ、あれは我の妻だからな!!!」
「貴様が言っているだけだがな!『災竜』は貴様を嫌っていたぞ?」
「そんなことありえない!!!」
「はぁ、では会議を始めましょう。まず、大前提として、『災竜』の敗北はありえないでしょう。あれの負けは絶対にない。」
「そうじゃろうな。」
「しかし、おそらく相手も生きているでしょう。相当な圧を感じましたからね。」
「対策の立てようは?」
「『災竜』と渡り合うほどの力です。我々で協力関係でも結びますか?」
「ないな!我ら竜は格下と協力関係は結ばん!」
「チッ、ならば黙っておれよ。」
「まぁ、そもそも『災害指定』はそれぞれで行動してますし、それもないでしょう。『魔王』と『吸血姫』は違うようですが。」
「余たちは昔からの仲だからな!」
「はい、と言うことで、とりあえず、『災竜』に連絡をとって、一旦来てもらった方がいいでしょう。」
「来るか?あやつ。」
「それは分かりませんが、来てくれることを祈るしかないでしょう?」
「では、なぜ最初から呼ばん!『樹界』!!!」
『竜王』がこの会議の召集をかけた『樹界』を責める。
「私、連絡手段ないですから。あなたたちの誰かなら持ってるかなと思ったのですよ。」
「一応、私が持ってるよ。」
『魔女』が答える。
「それでは、連絡お願いしていいですか?」
「良いよ。」
こうして、普段、絶対に『災害会議』に来ない『災竜』を呼ぶことが決まった。
『竜王』はみんなから嫌われています。