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幕間 人類会議

〈三人称視点〉


 ルーティ神聖王国の王城の一室。

 

 円卓を囲み、煌びやかな装飾が施された椅子に座る傲慢そうな人間たちがいた。


「それではこれより、人類会議を始めましょう」


 最初に口を開いたのはルーティ神聖王国法王だ。


 この人類会議は数年に一度、人間の国のすべての国王が集まり、同盟などを確認する場。しかし、今回は少し違った。


「まず、今回、私が皆様を呼んだ理由ですが、簡単に言うと全魔族の奴隷化を推し進めるために、皆様に協力してもらいたいからです」


「兵を出せということですか?」


「はい。やはり人手は必要ですので。」


「待ってください。魔族には、災害指定の『魔王』がいるのですよ!それに、同じ災害指定の『吸血姫』は魔王と協力関係にあるそうじゃないですか!我らに、災害指定2人を敵に回せと言うのですか!?」


「大丈夫ですよ。災害指定といえども、所詮は我らと同じ生物です。それに、我が国にはすでに、Sランクの魔物すら屠れる力を持つ兵士が100人以上いるのです。これほどまでの人材を集めて、負けるはずがないでしょう?それに、『勇者召喚』も行うつもりですし」


「勇者召喚……………ですか」


「はい。皆様知ったの通り、今の魔王は2代目。前魔王はこの『勇者召喚』で召喚された勇者に倒されているのです。」


「なるほど。そこまでの準備があれば、あるいは……………」


「はい。勝ちは確定事項です。故に、皆様にも魔族の捕獲に協力してもらいたいのです。何せ魔族は多い。流石に我が国だけでは捕獲に時間が掛かってしょうがない。私は早急に魔族に己が分を弁えていただきたいのですよ」


「なるほどな。それは貴殿の宗教が唱える人間至上主義からか?」


「はい。その通りです。」


「うーむ」


 各国の王たちは考え始めた。いや、考え始めたのは一部の大国だけだ。弱小国家は大国に従うしかないのだから。


 そんな時、いきなり会議室の扉が開かれ、1人の情報官が入ってきた。


「何用だ?今は会議中であるぞ?それを邪魔するとは、処刑されたいのか?」


「めっそうもございません!つい先ほど、極めて優先度の高い情報が入ってきたので、それを伝えに参りました」


「なんだ?申してみよ」


「はっ!つい先ほど、中立国家である魔導国ローンから入った情報でございます!」


「「「「「!!!!!」」」」」


 魔導国ローン。それはこの人類会議にも出席していない唯一の国。しかし、誰も文句は言えない。なぜならば、その国の王『賢王』ローンは、先ほど話していた災害指定の1人でもあるのだから。


「賢王ローンによると、『災竜の森』にて、強大なエネルギー同士のぶつかり合いを検知したとのことです!」


「なんだと!そ奴らはバカなのか?『災竜の森』といえば、災害指定で最強と呼ばれる『災竜』の縄張りではないか!?そんなところで争うとは!!!」


「そ、そして、その片方が、災害指定『災竜』であるということです!!!」


「「「「「なっ!!!!!」」」」」


「そして、もう一つのエネルギーは、他のどの災害指定にも一致しないとのことです!」


「「「「「何っ!!!!!」」」」」


 信じたくない情報だ。何せ、自分たちが災害指定との戦いを考えていたときに、新たな災害指定足りえそうな者が現れたのだ。


「そ、それは結果はどうなったのだ?」


「はっ!どちらも突然エネルギーを感知できなくなり、そのことから引き分け、もしくは和解したものと!」


「バカな!!!」


 『災竜』とは、人間からしたら、最も恐ろしいものだったのだ。それが引き分け、もしくは和解だ。


 信じたくなかった。


 王たちは恐怖した。しかし、そんな中でも平然としていた者がいた。


「皆様、静粛に」


 法王だ。


「これならば尚更、我らは魔族の奴隷を手に入れるべきです。魔族は多くの魔力を持つものが多い。故に、捕獲したらした分だけ、戦術の幅も広がるというもの。『災竜』と戦っていた強者は新たに災害指定『不明(アンノウン)』として登録し、分かり次第、情報を共有すれば良い。そうでしょう?」


「なるほど、確かにそうだな。分かった。我が国はその計画に賛同する」


「我が国も」


「我が国も」


 こうして、魔族の奴隷化計画を人間は始めた。


 これが原因で人間の数が著しく低下するとも知らずに。


 なぜ『災害指定』が『災害指定』と言われるのかを忘れて。


 そして、後回しにしたものが自分たちにとって災厄となることに気づかずに。


2章完結。明日は登場人物紹介を投稿します。


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― 新着の感想 ―
[一言]  馬鹿な為政者ほど迷惑な存在もそういないよなって……。
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