其の弐拾捌 蘇生
村人たちを地獄へと送った裏玖は、祭壇に横たわる灯に歩み寄り、そして、能力を発動した。
「『魂内顕現』『天道』『開門』」
その言葉と共に、裏玖の姿が変化した。
『修羅道』では、ほとんど見た目に変化はなかったが、『天道』は違う。
裏玖の体が淡く光り、そして背中に光の輪が出現した。
裏玖は、変化が終わると、灯の胸に刺さった短剣を引き抜き、そして……
「『再生』」
灯に手を翳し、その手から光を放ち、灯に浴びせた。
すると、徐々に短剣によって付けられた傷が塞がった。
『天道』の力は、『生命の管理』である。
その力を持ってすれば、この程度の傷は簡単に治すことが出来る。
裏玖は、灯の傷が治ったことを確認すると、蛇の神から取り戻した灯の魂を取り出し、呟いた。
「大分、魂力が減ってるな」
魂力とは、霊力や妖力の元となる生命エネルギーのことである。
それが少ないと、蘇生しても短命になってしまう。
しかし、『天道』の力があればそれは解決する。
「『魂力贈与』」
裏玖がそう言うと、裏玖の手から大量の光が溢れ出し、それが灯の魂へと入っていった。
光が全て灯の魂に入ったことを確認すると、裏玖は一度深呼吸をして言葉を紡いだ。
「『蘇生』」
その言葉と共に、灯の魂が元の体へと戻って行った。