其の弐拾肆 愚か者に絶望を 弐
突如として自身の肉体に風穴が空き、蛇の神は困惑し、そして恐怖した。
目の前にいる裏玖が、自身の肉体に風穴を空けたのだと理解したからだ。
蛇の神は、すぐさま自身が裏玖より早く攻撃することで裏玖に攻撃の隙を与えないようにしようと神術を使おうとした。
しかし、そんなこと出来るはずがなく、裏玖の攻撃は止まらず、いくつもの風穴が蛇の神の肉体に空いた。
蛇の神は、このままでは自身は死ぬと確信した。
故に、無様に命乞いをした。
裏玖にとって逆鱗となる命乞いを。
「待て!!!待ってくれ!!!」
「あ?」
「命だけは、命だけは助けてくれ!!!」
「なんで?」
「そもそも、我は貴様の獲物とはいえ、人間1人の魂を喰らっただけだろう?我と貴様は、神だ!たかが人間1人の命で殺し合うのは、あまりに不毛だろう?」
「……なるほど、お前は随分と人間のことを見下しているんだな?」
蛇の神は、言葉選びを間違えた。
「当然だろう?人間など、我らの餌でしかない!!!」
裏玖の逆鱗に触れた。
「そうか、なら、お前は人間に転生させてやろう」
故に、
「は?」
蛇の神は、絶望を知る。
「奪われる側の人間に……な」