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其の弐拾弐 六道狐

 神力が吹き荒れ、木々が倒れ、吹っ飛び、さらに空間が軋んだ。


 神力の嵐が収まると、そこには6つの尾を持つ狐、裏玖(リク)がいた。


 裏玖は、すぐに自身が神へと至ったことを理解し、そして新たに使えるようになった『三善道』の力も理解した。


 そして、その中の1つに(あかり)を助けることが可能となる力を見つけた。


「お前、何?」


 表面上は冷静に、しかしその裏に激情を滾らせて、裏玖は蛇の妖に問いかけた。


 蛇の妖は、一瞬呆けて言葉を失っていたが、すぐに気を取り直し、口を開いた。


「これはこれは、まさか妖狐だったとは。随分変化(へんげ)がうまいのだな?ああ、そうか、この女は、貴様の獲物だったのか?それはすまない。私がすでに魂を喰らってしまったよ。その骸にある霊力はただの残滓だよ。今回は残念だったと諦めたまえ」


 蛇の妖は、傲慢にそう言い放った。


「随分余裕だな?」


「フハハッ!当然であろう?確かに貴様は、たった今神へと至った。しかし、成り立ての神に負けるほど我は落ちぶれてはいないのだよ」


「何?」


「フハハッ!!!気づいていないのか?我も神なのだよ!!!」


 その言葉と同時に、蛇の妖が放つ妖力が神力へと変化した。


「前前回の生贄で、我は神に戻り、前回の生贄で我は全盛期の力を取り戻した。そして、今この女の魂を喰らったことで、我は全盛期以上の力を手に入れた!成り立ての神ごときが、我に勝てると思うなよ?」


「どうでもいいけど、とりあえず魂は返してもらうよ。灯を助けるために必要なんだ」


 そう言い、裏玖は、横薙ぎに手を振り払った。


 蛇の妖は、裏玖が何をしたのか分からず、混乱した。


 しかし、裏玖の振り払った手を見て、自分が何をされたのか理解した。


 裏玖の手の中には、先ほど蛇の妖が喰らったはずの灯の魂があった。


「これで灯は助けられる。じゃあ、もう死んでいいよ?」


 傲慢な神に今、六道狐が裁きを下す。

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