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其の拾肆 灯
裏玖は、少女を連れ、自身が住んでいる小屋に帰った。
小屋といっても、中には畳と囲炉裏があり、寝食をするには、十分な設備の小屋だから。
そして、さらに小屋の周辺には畑と井戸がある。
畑で育てている野菜は、村にかろうじて残っていた種を元に育てていた。
家の中には作物の種と同じように村に残っていた塩などの調味料もある。
裏玖は、一通り、少女にどこに何があるかを説明すると、畳の上に座り、とりあえず、少女の名前を聞くことにした。
「さて、これで、今日から君が住む場所は説明し終えたし、とりあえず、君名前なんていうの?」
裏玖のその言葉に、少女は慌てて、
「あっ!自己紹介が遅れ、申し訳ありません。私の名は、灯です」
「ボクは裏玖だ。よろしく」
「はい!!!」
「それじゃ、一応確認しようか。まず、ボクは君に寝る場所と食材を与え、君はこの家の家事を全てやる。これで良いね?」
「はい!!!」
こうして、裏玖と灯の生活は始まった。
ちなみに、灯の年齢は裏玖の1つ上で16歳です。