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其の拾弍 出会い

 その日は、いつも通り特に何もなく過ぎると思っていた。


 しかし、突如裏玖(リク)は、膨大な瘴気を感知した。


 それも、山の中。


 つまり、その瘴気を放つ存在は、裏玖の縄張りに足を踏み入れていたのだ。


 裏玖は、すぐさま瘴気を放つ存在の元へと走った。


 そこにいたのは、悍ましい瘴気を放つ不定形の怪物だった。


 この時の裏玖は、知る由もないが、この怪物は、妖気の濃い場所で生まれた妖だった。


 しかし、魂を不完全な状態で得てしまい、存在が世界に完全には定着せず、ただ破壊衝動のままに生きる存在になっていた。


 裏玖は、すぐさま怪物を殺した。


 怪物を殺すと、瘴気が溢れ出した。


 裏玖は、その瘴気を妖力で霧散させた。


 それにより、山には再び清らかな空気が流れ始めた。


 しかし、この時裏玖は、瘴気を放つ存在を殺すことしか頭になく、もう1人、そこにいた存在に気づかなかった。


 気付いたのは、瘴気を霧散させた後だった。


「……え?」


 ひどく間抜けな声がその場に響いた。


 裏玖が声が聞こえた方を向くと、そこにはボロボロの少女が驚いた表情をしてそこにいた。







 死ぬかと思った。


 体力も尽き、まともに立つことすら出来なくなって、すぐそこには怪物が迫ってきていて。


 もう、助かる道はないと思っていた。


 しかし、その絶望は、突如現れた救世主によって、いとも簡単に消し飛んだ。


「……え?」


 少女の口から最初に出た言葉は、そんな間抜けな声だった。


 目の前の状況が理解できず、ただ固まった。


 しかし、目の前の3本の尾を持つ少年が自分を助けてくれたことを理解し、少女は慌てて口を開いた。


「あ、あの!助けてくれてありがとうございます!!!」


 少女がそう言うと、少年は、めんどくさそうな表情をしながら、


「別に君を助けたわけじゃない。こいつがボクの縄張りを汚染したから消しただけ。それより、早く帰ってくれない?」


 突き放すように、そう言った。

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