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其の拾壱 5年後
裏玖が都を滅ぼしてから5年の月日が経ち、裏玖は15歳になった。
裏玖は、村に帰り、みんなを埋葬した後、山で暮らし、他者との関わりを断って生きていた。
もう、2度と大切なものを失う辛さを味わわないために、誰とも関わらず、大切な存在を作ら内容に、出会うことすらしない道を、裏玖は選んだ。
出会いたくなかった。
関わりたくなかった。
どれだけ孤独でも、もう失いたくなかった。
それなのに……
出会いは、突然訪れる。
なんの前触れもなく。
未だ虚な光のない目をした裏玖は、その出会いで……
◇
本来なら誰も訪れるはずのない人里から離れた山。
その山に少女がいた。
少女は、息を切らしながら、走っていた。
逃げていた。
死にたくなかったから。
少女は、ただひたすらに『ソレ』から逃げていた。
あてもなく、こんな山の中に自分を助けてくれる存在など居るはずがないと思いながら。
それでも、ひたすらに走っていた。
そして、出会った。
少女にとっての希望と。
虚な目をした少年と。