其の漆 絶望は加速する
「ふざけるな!!!破壊不可能?尽きることがない?そんなこと、あるはずがないだろう!?」
男の叫びを無視して、裏玖はさらに言葉を紡ぐ。
「『現世顕現』『地獄道』『開門』」
その言葉と共に、大量の鬼の頭蓋骨で装飾された門が出現し、その門から5体の大鬼が現れた。
『地獄道』に住む鬼は、餓鬼と違い無制限に沸くわけではない。
鬼には際限がある。
しかし、その代わりに『地獄道』に住む鬼は1体1体が強力な力を持っている。
「お前たちはこの男以外の陰陽師を殺せ」
裏玖のその言葉を聞いた大鬼は即座に行動を開始し、餓鬼の対処に当たっていた陰陽師たちを殺し始めた。
それを一瞥し、裏玖は男に話しかけた。
「さて、これで邪魔は入らないね。君だろ?じいちゃんとばあちゃんをここに連れて来て、そしてあの傷を付けたのは」
「……………」
「別に答える必要はないさ。分かっていることだから。だから、お前だけはボクが殺す」
そう言い終わると、裏玖は妖力を爆発させた。
その妖力を見た男は少し怯んだものの、すぐに調子を取り戻し、
「確かに、お前は強そうだ。しかし、俺にはこの呪具がある。さらに、この呪具を持っているのは俺だけではない。この都には他に数人この呪具を持っている者がいる!!!その者たちがあの大鬼を殺すだろう。そして、俺の呪具によって強化された霊力で生み出される結界は『三尾』ごときが壊せるものではなっ……!!!!!」
その言葉が終わる直前、男の脇腹に衝撃が走り、バキバキと骨が折れる音を鳴らしながら男は蹴り飛ばされた。
「話が長い」