『九尾』VS『創造神』 その5
金属音が響き、衝撃波が発生し、空間そのものにヒビを入れた。
創造神の刀による攻撃は、なんとか『悪食の刀』で防ぐことができた。
しかし、一度受けただけで『悪食の刀』に纏わせていた『虚』が消滅した。
このままでは、『悪食の刀』が消滅させられてしまう。
すぐに『虚』を纏い直し、距離を取る。
「厄介だな」
周りには大量の『無還ノ黒珠』が浮いていて、何回も当たれば『虚狐』が解除されてしまう。
「次は、これも試してみようかのう?」
創造神は、そう言い、巨大な尽八を出現させた。
「『無還ノ赤砲』」
創造神のその言葉と共に、巨大な赤いビームのようなものが陣から放たれた。
おそらく、複数の世界を同時に滅ぼすこともできるだろう。
このまま受ければ、おそらくオレもただではすまない。
かと言って、これはあまりにも範囲が広すぎる。
『次元喰い』も使えないため、このままでは避けられない。
なら……
「『部分変化』!!!!!」
そう、言い終わると共に、一瞬で加速し、攻撃範囲から離れた。
オレは、人型の時より完全な『九尾の狐』の姿の方が身体能力が高い。
しかし、いつ暴走してしまうか分からないため、完全な『九尾の狐』の姿にはならないようにしている。
しかし、それでは同じ『理から外れた存在』には負けてしまうかもしれない。
そこで、オレは肉体の一部だけを『九尾の狐』本来のものへと変える方法を特訓した。
そしてできたのが『部分変化』だ。
これを使い、今回は足と目を『九尾の狐』本来のものへと変えた。
足を変化させることで空中を走る速度を上げ、目を変化させることで創造神の動きを目で追えるようにした。
「ホッホッホッ!面白くなってきたのう」
「ああ、そうだな!!!!!」
一気に加速し、創造神に斬りかかった。
金属音が何度も響き、その度に空間にヒビを入れるほどの衝撃波が発生した。
何度も『虚』が消滅し、その度に『虚』を纏い直す。
しかし、創造神の『無還ノ紫衣』と『無還ノ白刀』は一度も解除されなかった。
だけど、戦えてる。
力の差はあれど、渡り合えてる。
そして何より……楽しい!!!
こんなに楽しい戦いは久しぶりだ!!!
「アハッ!アハハハハ!!!アハハハハハハハハハハ!!!!!」
もっと!もっとだ!!!
もっと速く!!!
もっと重く!!!
一撃一撃に魂を乗せろ!!!!!
攻撃の手を緩めたら負ける!!!
この緊張感がすごく……愉しい!!!