誓い
暗い……。
オレは……寝てるのか?
理から外れた後、何があったっけ?
……そう……だ……。
オレは、『空亡』を喰って……そして、暴走して……そこに瑠璃が来て……オレは……瑠璃に!!!
一気に意識が覚醒し、飛び起きる。
急いで瑠璃を探す。
瑠璃は、オレの寝ていたベッドのすぐそばで椅子に座っていた。
瑠璃は、右腕がなく、生命力もずいぶん少なくなっていた。
瑠璃は、いきなり飛び起きたオレの方を驚いた様子で見つめ、そして、
「クク!!!」
オレの名前を叫び、抱きついてきた。
「瑠璃……ごめん」
「む?何のことであるか?ああ、お主が我を攻撃したことか?それならば気にするな!この通り我は生きている。それで良いではないか」
「でも……オレ、瑠璃に怪我を……」
「全く……そんなことよりも、ククは大丈夫なのか?」
「オレ?」
瑠璃に言われ、オレは自分の体を確認する。
特に異常はないようだ。
後は、能力だけど……。
どうやら、能力は、理から外れたままらしい。
『概念喰い』が使えるようになっただけではなく、他の能力も格段に効果が上がっている。
……待てよ!!!
この力なら……
「瑠璃!!!オレ、瑠璃の腕と生命力を戻せるかも!!!」
「何?それは本当か!?!?!?」
「うん!!!」
「それなら、戻してみてくれぬか?」
「分かった!『時間喰い』!」
理から外れる前の『時間喰い』では、対象を指定することができず、世界の時間そのものを喰うしかなかった。
しかし、今の理から外れた『時間喰い』では、対象を指定することができるようになっていた。
今回は、瑠璃の腕と生命力を対象として指定して、腕を存在ごと消される前まで、生命力を消費する前まで戻した。
そして、それは成功した。
「おお!!!戻った!!!ありがとう!!!クク!!!」
「でも……生命力は、オレのせいだし……腕の方も、オレがもっと上手くやれてれば……」
「気にするなと言っておるだろう?まあ……そうだな、そんなに気になるなら、誓ってくれ」
「誓う?」
「うむ。もう二度と、我を心配させるな」
「うん……そう……だね……!分かった。もう二度と、オレは瑠璃を心配させない」
「うむ!!!それで良い!!!あ、でも、あれだからな……体調が悪い時は言って良いぞ。あくまで、戦いに関してのみだ!!!」
「分かってるって」
笑い合い、もう一度ハグをする。
ああ、やっと、戦いが終わったと実感できた。
瑠璃が一緒にいてくれるだけで、オレは心の底から安心できる。