プロローグその2
気がつくと、オレは何もない真っ白な空間に漂っていた。
四肢の感覚がなく、動くことができない。
ただ、漂っている。
視覚だけはあるようで、周りが白いということだけは分かる。
しばらく漂っていると、声が聞こえてきた。
「む?こんなところに魂が来ようとは。珍しい。いや、この魂は……」
おじいさんのようなしわがれた声だ。
「おい、聞こえておるか?」
声が語りかけてきた。
返事をしようとするが声が出ない。
「ああ、儂は思考を読むからお主は考えるだけでよい。」
思考を読む?
どういうことだ?
というか、この声は誰のものだ?
周りに人の姿はない。
「おお、そうじゃった。今見えるようにする。」
その声と同時に、オレの前にハゲで長く白い髭があり、妙な貫禄を持つお爺さんが現れた。
「ほ、ほう。儂のことをハゲというか。生意気なやつだな。」
あ、やべ。コンプレックスだったか。
ごめんなさい。
見た目で何かを判断されるのは一番いやだと、オレは知っている。
こういう時は、素直に謝った方がいいだろう。
「いや、よい。それよりも、儂はお主に提案があるんじゃ、狐宮九喰よ。」
な!?こいつ、オレの名前を知ってる?どういうことだ?
「そうだ。自己紹介がまだだったな。儂の名は■■■■■創造神だ。まあ、名前は聞き取れんだろうがな。神の名は、人間でも発音出来るが、知ることはできないんじゃ。」
創造神?神様なのか?
「そうじゃ。儂は数多の世界を束ねる最上位の神である。」
信じられないが、本能がそれを真実だと言っている。
「信じられないのも無理はないがの。ひとまず納得してくれ。出ないと話が進まん。」
神様がオレに何の用があるんだ?
「お主、異世界に転生しないか?」
は?
2話目です。まだ転生しません。すみません。