『不明』VS『破壊神』 その10
破壊神の首が飛ぶ。
しかし、次の瞬間には、
「『破壊』」
破壊神の一言で首は元に戻る。
でも、勝機は見えた。
破壊神はずっと封印されていた。
瑠璃の年齢から考えても60万年弱。
だからこそ、戦いの技術が鈍っているんだ。
それを、圧倒的な身体能力と権能、そして神力の圧で誤魔化していたんだ。
戦いの技術だけ、今はオレの方が上回っている。
ここに勝機がある。
「どうなっているんだい?さっきまでより身体能力が低下しているはずなのに……」
「さあ?どういうことだと思う?」
「やっぱり君は……生意気だね!!!」
破壊神が再度オレに迫る。
そして、オレはまた破壊神の攻撃を受け流し、破壊神の体勢を崩し、背後に回り、首を斬り飛ばした。
「なぜだ?」
「もうお前の攻撃はくらわない。諦めろ」
「ふざけるな!!!」
それから、幾度となく、オレは破壊神の攻撃を受け流し、そして破壊神の首を斬り飛ばし続けた。
すると、徐々に破壊神の表情に恐怖が浮かんできた。
そして、ついに、破壊神の表情が絶望に染まった。
今まで、自分の攻撃がこれほど受け流され、そして一方的に攻撃を受けたことはなかったのだろう。
「なぜだ……なぜだ……なぜ……」
これで、『魂喰い』が使える。
『魂喰い』は、格下の相手であれば、無条件で魂を喰らうことができる。
しかし、対等もしくは格上が相手だった場合、心を折る必要がある。
これで、条件を満たした。
「じゃあな破壊神。『魂……』……なんだ?これは……」
『魂喰い』を発動しようとした次の瞬間、破壊神から大量のドス黒い瘴気のようなものが溢れ出した。
そして、
『完成した』
あまりにも悍ましく、聞いているだけで死んでしまいそうになる声が聞こえた。