『不明』VS『破壊神』 その5
腕を斬った。
まずは、ダメージを大きめのダメージを与えられたことを喜ぼうと思った次の瞬間、
「やるじゃないか」
背筋が凍った。
その声は、あまりにも悍ましく、そしてあまりにも透き通っていた。
「何っ……」
「謝罪しよう。君を過小評価し過ぎていた。君は、僕の敵足りえるよ」
「それは……嬉しいね」
「だからこそ、ここで確実に殺しておこう」
ああ、やばい。
これは、やばい。
死が、すぐ側にあると、今すぐこの場から離れるべきだと本能が警鐘を鳴らす。
「『破壊』」
破壊神がそう言った次の瞬間、破壊神の右腕が元に戻った。
時間が戻ったかのように。
『破壊』で、『負傷喰い』みたいなことができるってことか……。
多分、腕を斬られたという結果を破壊したんだ。
「じゃあね、僕の敵」
次の瞬間、オレは、細切れに切り刻まれていた。
ハ……ハハッ……。
まじかよ。
でも、
「『負傷喰い』」
負けられない。
こいつの恐ろしさは十分理解したと思っていた。
でも、これでもまだまだ底を見せてはいないのだろう。
「ほう……すごいね。やっぱり斬るんじゃなくて完全に破壊すべきか……」
破壊神の呟きを聞きながら、オレは、神力を練った。
木、火、土、金、水、陰、陽……全ての属性を混ぜ合わせ、一つの新たな属性へと昇華させる。
「全属性複合属性『虚』」
オレの体から、透明な神力が溢れ出す。
「へえ」
完成した『虚属性』の神力を、細胞一つ一つに馴染ませていく。
「『纏・虚狐』」