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『災竜』VS『幻界』 その5

〈三人称視点〉


 彼女は、創造神によって世界を管理し、守るために創られた。


 彼女の後にも、同じ使命を持った存在が創造神によって創られたが、彼女が最も強かった。


 そんな強さが、彼女を孤独にした。


 最強であっが故に、彼女は孤独だった。


 だからこそ、彼女は、自身を超える存在を求めた。


 そんな時、『魔女』と出会った。


 『魔女』は、彼女に傷を負わせた。


 彼女は、それがとてつもなく嬉しかった。


 孤独から救われた気がした。


 だからこそ、『魔女』と友人になった。


 しかし、『魔女』は、彼女を超えられなかった。


 彼女は、『魔女』が自分を殺せる魔法を作り上げたことは気づいていた。


 しかし、それではダメだった。


 魔法が発動する前に、彼女が勝ってしまうから。


 魔法の発動にかかる時間は一瞬だろう。


 しかし、彼女はその一瞬で十分勝てる。


 本気で戦い、ぶつかりあって負けなければ、意味がなかった。


 もう自分を超える存在は現れないと、彼女は思った。


 そんな時だった。


 狐の少女に出会ったのは。


 九喰(クク)という名の狐の少女は、彼女に敗北を与えてくれた。


 彼女は、歓喜した。


 やっと、孤独から解放されたと。


 だからこそ、許せなかった。


 そんな自分を超え、そして自分を受け入れてくれた存在を奪おうとした破壊神とその使徒が。


 だからこそ、彼女はもう二度と奪われないために更なる力を求めて神話級ダンジョンを攻略し、亜神となった。


 彼女の名は、瑠璃。


 『災竜』の二つ名を持つ『災害指定』。


 世界を、そして愛する者を守ると誓った者。




……………………


……………


……




「さて、帰るとしましょうか」


 ファンタズムは、そう言うと、破壊神の待つ大穴へと向かった。


 他の使徒は、『箱庭』に自分も入るが、ファンタズムは、そうではない。


 ファンタズムとカロス以外の使徒の『箱庭』は、相手を取り込んで終わりではない。


 そこから『箱庭』の中で『箱庭』を操作し、相手を倒すという作業が必要だ。


 ファンタズムとカロスの『箱庭』は、相手を取り込んだ時点で勝利が確定する。


 カロスは、『魔女』の絶望する顔が見たかったがために『箱庭』に入り負けてしまったが、ファンタズムは、慎重であるが故にそれはしない。


「『災竜』……。そこそこ厄介でしたが、まあ『幻界』に取り込んだので私の勝ちは、確定です。せいぜい悪夢を見ながら死ぬといいです」


 ファンタズムの使う『幻界』は、相手に悪夢を見せる。


 そして、それにより負った心の傷は、そのまま魂の傷に変換される。


 つまり、『幻界』から脱出しないと、魂が壊れ死ぬ。




 ファンタズムが異変に気づいたのは、それからしばらくしてからだった。


「なぜだ?一向に大穴に近づけない!何が起こっているのですか!?!?!?」


 いくら進もうとも、景色が変わらない。




 それから、さらに2時間以上の時が経った。


「クソッ!魔法を受けた感覚もない!」


 そして、ようやく景色が変わった。


 そして、そこでファンタズムは見た。


 大量の自分の死体を。


「なっ!!!何ですか……これは!?!?!?」


 ファンタズムの表情が恐怖に染まる。


「まるで……悪夢」


『そう……これは悪夢である』


 突如、そんな声が聞こえた。


「なっ!!!いや、この声は『災竜』!!!!!」


『正確には……ここは元々お主の持っていた『幻界』という『箱庭』だ』


「何……ですって?」


『お主の『幻界』を掌握した。ただ、それだけのことよ』


「ありえない!ありえない!ありえない!!!『幻界』は、主上より賜った私の『箱庭』です!あなたに掌握できるはずがない!!!」


『クフフハハハハハ!!!現実を認めぬか。まあ、良い。お主はこれから魂を壊され死ぬ。せいぜい絶望するが良い』


 その言葉と共に、ルリの声は聞こえなくなった。


 次の瞬間、


「ヴッ!!!オェ」


 大量の虫が、ファンタズムの口から溢れ出した。


「な……これは……ヴッ!!!」


 こうして、ファンタズムの長い悪夢が始まった。


 ファンタズムがこの悪夢から解放されるのは、死んだ時だけだ。


 こうして、『災竜』と『幻界』の戦いは、『災竜』の勝利で幕を下ろした。

 

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