『災竜』VS『幻界』 その1
〈九喰視点〉
『八使徒』が侵攻を始める日、オレと瑠璃は日の出と共に破壊神の気配がある場所に向かって飛び立った。
空を飛びながら、破壊神と戦うための自分の手札を確認する。
権能となった『九喰い』は、一つを除いて全て万全に使える。
最後の一つは、『九喰い』自身が言っていたように、今のオレでは使えそうにない。
でも、なぜかこれを使えなければこの戦いで死ぬ気がする。
だから、この最後の『喰』も、なんとか使えるようになりたい。
結構速く飛んでいるが、瑠璃は、余裕で着いてくる。
「飛ぶスピードも早くなったね。瑠璃!」
「うむ!」
「それにしても、本当に強くなってるね。1週間前のオレなら多分負けてた」
「そうであろう?もっと褒めてくれても良いのだぞ?」
「いや、本当にすごいよ」
これから戦いだけど、瑠璃と話していると落ち着く。
そんな、会話をしている時だった、
「随分楽しそうに話していますね。これから私に殺されると言うのに」
その声が聞こえたのは……。
オレたちの目の前に突如として『幻界』ファンタズムが現れた。
「殺される?バカを言うでない!殺されるのはお主だ!!!」
瑠璃は、そう言うと、魔力を解放した。
「ついこの前私に負けたくせに大きな口を叩くものですね」
「クク!こいつは我が殺す!お主は破壊神を殺せ!」
「分かった!!!」
瑠璃の目を見て、大丈夫だと判断し、オレは破壊神の元へ飛んだ。