『グランドマスター』VS『煉界』 その1
〈三人称視点〉
冒険者の町シンでは、Sランク冒険者たちの活躍により、被害はほとんど出ていなかった。
グランドマスターであるシンは、今は周辺のSランク冒険者のいない町や村の人々を助けに行っていた。
そのため、今はシン抜きで魔物から町を防衛していたのだ。
そして、ついにその日は訪れた。
突如として戦場の各地で炎の柱が立ち上った。
「なんだ?ここにいるはずの強者がいないな。どこにいる?」
『八使徒』の1柱である『煉界』ガートーリは、炎の柱を操り、冒険者たちを蹂躙しながらそう言った。
「こいつは……ヤバイな」
「ああ、洒落にならないだろこんなの」
「でもだからって、負けるわけにはいかない!」
「この町は絶対に守りきる!!!」
「グランドマスターが来るまで、持ちこたえるぞみんな!!!!!」
「「「「「おう!!!」」」」」
冒険者たちは、勝ち目がないと分かっていても立ち向かう。
この町を守るために。
……………………
……………
……
ガートーリが現れてから、およそ5分が経った。
すでにそこには、立っている冒険者はいなかった。
「天晴れな悪あがきであったぞ。主上の玩具であるだけはある。まあ、手加減してこれほど早く倒せるとは思っていなかったがな」
ガートーリは笑いながらそう言った。
「何を……しているんだい?」
それは、唐突に現れた。
冒険者ギルド、グランドマスター、シンが圧倒的なまでの圧を放ちながら、そこにいた。