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『吸血姫』VS『凍界』 その3
〈三人称視点〉
「驚いたでしょう!?」
「ああ、驚いたのじゃ」
「フフフ、さあ、恐怖しながら死ね!」
「ん?何を言っておる?妾は、この程度が本命の攻撃だということに驚いたのじゃ」
「何?」
アレリルリは、余裕そうな顔でそう言い、そして、
「『発芽』」
そう言った。
グラキエは、その言葉がどういう意味か分からず、混乱した。
そして、自身の作った氷の塊の中にある一雫の血を見て、理解した。
次の日瞬間、その血から、大量のトゲの付いたツタが生えた。
それは瞬く間に氷の塊の全体に広がり、花を咲かせた。
「『血薔薇』……。どうじゃ?美しいじゃろう?」
その言葉と同時に、氷が砕けた。
「化け物め……」
「だから、『災害指定』なのじゃよ」
砕け、落ちてくる氷の破片を防ぎながら、アレリルリは、なんてことのないような口調でそう言った。
「そう……だったら、これで終わらせてあげる!!!『凍界』!!!」
次の瞬間、全てが氷に包まれた世界に、アレリルリは、立っていた。