『吸血姫』VS『凍界』 その1
〈三人称視点〉
吸血鬼の国、ドラキでは、『三大真祖』が主体となり、侵攻してくる魔物の殲滅を行っていた。
女王である『吸血姫』アレリルリは、未だその姿を見せていなかった。
そして、『八使徒』が侵攻を始めた日、ドラキには、『凍界』グラキエが侵攻してきた。
グラキエは、圧倒的なまでの魔力を解放すると同時に魔物を殲滅している吸血鬼たちを皆殺しにしようとした。
その、攻撃が放たれる直前、グラキエの体内から大量の赤いトゲが生えた。
「せっかく頑張ってくれているのだ。邪魔をするでない」
グラキエが空を見上げると、そこには冷たい目をしながらグラキエを見下ろす『吸血姫』アレリルリが居た。
「『邪魔するでない』……か。随分偉そうな口を聞くじゃないか。玩具風情が……生意気ね」
グラキエは、自身から生えているトゲを凍結させ、砕いた。
そして、次の瞬間には、すでに傷はどこにもなかった。
グラキエは、圧倒的な魔力でアレリルリを威圧しながらアレリルリに手をかざした。
次の瞬間、アレリルリの右腕が凍った。
さらに、その凍結は範囲を広げていった。
アレリルリは、すぐに自分の腕を引きちぎり、捨てた。
そして、引きちぎった直後に腕を再生させた。
「あー、やっぱりこの程度の攻撃じゃダメか」
グラキエは、そう言うと、大量の氷の矢を自身の周囲に作り出した。
アレリルリも、それに対抗するように大量の血の矢を作り出した。
「せいぜいいい声で鳴いてよね。主上を喜ばせるために」
「ほざけ。鳴くのは貴様だ」