『鬼王』VS『雷界』 その5
〈三人称視点〉
「グアアアアアアアアアアッ!!!」
大量の雷を浴び、ゴウテは、黒く焼け焦げる。
「はぁ、危なかった。さすがは『災害指定』というべきなのかな?」
トニトゥルは、傷を再生させながらそう言った。
その間も、ゴウテには雷が降り注ぎ続けていた。
「グッ……アアッ……!!!」
次の瞬間、ゴウテが歩き出した。
雷を浴びながら、それでも肉体の形を保ちながらゴウテは歩き、拳を振りかぶりトニトゥルに殴りかかった。
しかし、それはあまりにも遅く、トニトゥルに容易く避けられた。
そして、そのまま、ゴウテは倒れた。
「君は強かったよ。まあ、相手が悪かったと思って諦めな」
トニトゥルは、そう言うと、ゴウテの心臓が止まっていることを確認して『雷界』を解除した。
『雷界』から元の世界に戻った瞬間、トニトゥルの足をゴウテが掴んだ。
「何っ!?」
「簡単に引っかかったな。まあ、死んだふりなんて弱い魔物しか使わない技術だものな」
ゴウテは、昔まだ弱かった頃、負けそうになると自身の心臓を一時的に止めてその場をやり過ごした。
魔物は基本的に相手が死んだらその後は特に何もしない。
故に、この死んだふりは有効だった。
そして今、その死んだふりの技術が役に立った。
ゴウテは、掌から大量の魔力をトニトゥルに流し込んだ。
「『武器生成』!!!」
次の瞬間、トニトゥルの体内からトニトゥルの体を埋め尽くすほどの量の槍が生えた。
トニトゥル、対処することができずにそのまま死んだ。
こうして、『鬼王』と『雷界』の戦いは『鬼王』の勝利で幕を下ろした。